板勾欄出人形式住吉型の名地車、小林のだんじり・・・・
毎度、だん馬鹿っす

4月19日、週初めの月曜日、皆さんいかがお過ごしでしょうか?
この土曜・日曜日は、取材で神戸市・宝塚市へ行ってきました。
昨日は、神戸市東灘区本山地区 田中の入魂式とお披露目巡行の撮影。
この模様は、後日「だんじり通信」や「入魂式・イベント特集」で写真やムービーで紹介させていただきますので、しばらくお待ちいただきますように・・・・。
土曜日は、今年で地車購入10周年を迎えた宝塚市小林へ行ってきました。
このほど、昨年破れた大太鼓の皮を当サイト『だんじり』の「太鼓Q&A」でもおなじみ、石川県白山市の《浅野太鼓楽器店》で張り替えられ、この日が太鼓の搬入日。
それならついでに、小林の地車見学をお願いしたところ、快諾いただき、怪しい面々数名を引き連れて見学に訪れました。

ちなみに、小林の太鼓張り替えの「音合わせ」に、3月下旬に宝塚在住のN君と共に取材かたがた《浅野太鼓楽器店》を訪れてきました。
その模様は、次回の「だん通」で紹介する予定ですのでお楽しみに・・・・!
さて、小林の地車は平成12年11月に東大阪市足代より譲り受け、翌平成13年5月に入魂式がおこなわれ、同年の秋祭りから曳行されています。
元々は、泉大津市濱八町の上市の先々代地車で、明治期に製作された『板勾欄出人形式住吉型』地車(足代は大正15年に《住吉大佐》から中古で購入)。

製作大工は、《住吉大源》または《住吉大佐》と推測されますが、定かではありません。
彫物は堺の《彫又》一門の作と思われますが、《小松》一門の彫物師の手も入っているようです。
この地車の特徴は、このタイプの地車にしては肉厚で大きな獅噛みが三面施されていることで、他の『板勾欄出人形式住吉型』地車では他に類をみません。

その作風も、《彫又》と言うよりは、《小松》一門のノミ跡に近いような気がします。
また、彫物構成は屋根回りを除いて、源頼光と四天王の物語で統一されており、「大江山の鬼退治」や「土蜘蛛退治」などの名場面が刻み込まれています。
見送り正面には「渡辺綱、羅生門禁札立て」。

小屋根の懸魚には羅生門の鬼が彫られ、見送り正面の渡辺綱と対をなしています。

右は、白髪の老人と蝦蟇に乗った山伏姿の人物。これが、この地車の難解中の難解の彫物。

「これかなぁ~?」と思う図柄はなきにしもあらず。
他の彫物図柄との関連性も考えれば、?マークが付くので、「図柄・人物特定できず」としておくのが無難かも・・・・。
左は、「大江山 頼光、酒呑童子を討つ」の名場面。酒呑童子の形相たるや見るものを唸らすほどの出来映えかと・・・・。

柱巻の出人形や大屋根下板勾欄出人形は欠損も無いようで、「頼光木渡り」などの「大江山鬼退治」関連の図柄や「土蜘蛛退治」などが見事に刻み込まれています。

しかし残念ながら、これまでの修理などにより人物の配置などに誤りがあるようにも思われ、今後、錦絵や書物を紐解き正しい配置に組み替えれば、なお一層素晴らしい彫刻に様変わりすることでしょう。
小林では、来る5月23日(日)に地車購入10周年の式典をおこなう予定。
名地車と言われる小林の地車。地車・地車彫刻愛好者の皆さんには、是非とも見に行っていただきたい一台かと・・・・。
さて今日の『だん通』はこれでおしまいなのですが、お気付きの方もおられると思いますが、先週末に当サイト「各町の地車」の姿写真の追加・差し替えをおこなっております。
本日更新の『もうひとつのだん通』から、追加・差し替えをおこなった各町のページへダイレクトにアクセスできるようにしてあります。
是非ともご覧下さいねぇ~!!
>>『もうひとつのだん通』を見る
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