茶屋のだんぢり漫遊録

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4月にコナカラ坂を上るはいつ以来?





当ブログで、3月19日(日)にだんじりシーズンが開幕したと申し上げてから、立て続けに『だんじり行事』が続いておりやす!

特にその3月19日(日)だけでもたくさんの『だんじり行事』があり、それらを通して色々と書き綴っていきたいのですが、ちょいとこちらの時事ネタを先にご紹介したいと思います。


岸和田市は旧市地区の、ご存じ上町のだんじりでございます!



4月2日(日)の早朝より、祭礼衣装での曳行による、岸城神社での入魂式が執り行われました。




ここ数年、岸和田市内ではだんじり新調、もしくはそれに準ずる大掛かりな修復でなければ、祭礼衣装での大々的な曳行を行わない事になっています。



実際、この1週間前である3月26日(日)には同じ岸和田市の大手町が修復を終えて入魂式を執り行いましたが、それは小屋の前での神事と、私服による町内曳行のみでした。



修理の規模によってお披露目の規模も変わってくるのです。


3月26日(日)、その大手町が町内曳行を終えた頃の時間に、上町のだんじりは修復のために搬入されていた《植山工務店》から町内へと移動され、晴れてこの4月2日(日)に入魂式の日を迎えました。




出発前に町会長から発せられた挨拶の言葉に
『桜が咲く時期に、入魂式を行うことが出来て、本当にうれしいと思います』
というフレーズが聞かれ、とても印象的でした。




そうねぇ~、例年ならもう桜が咲き揃っていてもおかしくない時期なのですが・・・

今年は3月がいつまでも寒くてねェ~

残念なことに桜がまだ咲いてねーだよ。


3月26日(日)の大手町の時も
『こんな寒い日に旧市のだんじり見るとは思わなんだ』
・・・て言うてたんですが、この4月2日(日)も夜明け前はそれと変わらんぐらいの寒さ。

ガタガタブルブル凍えながら、上町のだんじりの出発を見送りました。


とは言え!・・・


さすがは岸和田の旧市地区でんな。


だんじりが走り出したら、そんな寒さもどこへやら。



夜明け前から沿道を埋め尽くす見物人の中を、だんじりは颯爽と駆け抜けます。


そして午前6時過ぎにコナカラ坂を駆け上がる上町のだんじりは、後ろ旗はまだ普段の曳行用のまま。



そうです、上町はご存じ岸城神社『宮二番』を受け持つ格式ある町。

宮入り用の『吹きチリ』は、コナカラ坂を上ってから、お城の門の前で付け替えるのであります。




なので、お城の周囲をぐるりと回って、岸城神社の鳥居前へとやって来ただんじりは、吹きチリ姿であります。





さて昭和4年に大工《大宗》植山宗一郎の手により製作された上町のだんじりは、当時3台分にも及ぶ材木の中から、極上の部分を選りすぐって作られたという贅沢なだんじり。



彫師は淡路の名匠・開正藤を責任者に、息子の開生珉、さらに播州から三代目黒田正勝、その弟子で当時まだ若手の木下舜次郎、松田正幸と、キラ星の如き顔ぶれが並びます。



大正期に淡路より岸和田に腰を下ろし、数多くのだんじり・太鼓台に作品を残してきた開正藤が、岸和田に残した最後の名作(貝塚では昭和11年に半田のだんじりを作事)と言える作品であり、のちに岸和田で数々の名作を残す事になる木下舜次郎に、まさに『時代のバトン』を引き継ぐかのような仕事を施しています。



現在までに平成11年に《植山工務店》にて修復を経験しており、大規模な修復はそれに続いて今回となります。
過去には、昭和50年代に1度行われているやら、いないやら?


入魂式を終えただんじりは、近年の入魂式後のコースで話題となる『旧・闇市』から駅前商店街へと入る通称『ヤングレコード前』を遣り廻し。

駅前から塔原線を海手方向へと下がり、らんかん橋から紀州街道へと入り、S字コーナーを駆け抜けます!




新調や修復の完了しただんじりを、いきなり傷モノにしたくないのは当然で、入魂式でこの『S字』を走る事はあまりありません。

しかし今回の上町は、敢えて『攻める入魂式』を念頭に、S字も走る事を決め、2箇所とも見事に決めて行きました。



ゆく先々では各町が出迎える中を、上町のだんじりは紀州街道から疎開道へと進み、カンカン場にて渾身の遣り廻し!



その後、駅前商店街を抜けて無事に町内へと帰還しました。



それはそうと、こんな4月にコナカラ坂を上る入魂式なんて、いつ以来だろうと考えておりましたら?・・・



昭和63年4月3日(日)に、大北町が入魂式のためにコナカラ坂を上っております。

それ以来かなぁ?


あの年は4月10日(日)に『岸和田城四百年祭』の大パレードが行われており、それを見据えての修復と入魂式でした。



さぁて今回の上町の入魂式は、気合いの入った曳行と、祭礼本番さながらの遣り廻しに、詰めかけた大勢の見物人も堪能された事でしょう。





岸和田の旧市地区では、今月もう1町、入魂式でコナカラ坂を駆け上がります。

そちらも楽しみにして、上町の皆様、この度は誠に、おめでとうございます。



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