茶屋のだんぢり漫遊録

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今年の最後は珠玉の一台・・・・

毎度、だん馬鹿でおますにぱっ

今日は、大晦日。今年も残すところあと7時間余り。

派遣切りなどの雇用問題のニュースで始まった、今年平成21年。
私が日課のように見ている朝のワイドショーも、経済不況・殺伐とした事件・芸能人の麻薬汚染、そして政権交代の話題に終始した一年でした。

来る平成22年こそは、心安らぐ明るい年であることを願いながら、今年最後の『だんじり通信』をお届けしましょう。

私にとっては相も変わらず、地車三昧に明け暮れた一年でした。

昨年4月、このサイト『だんじり』の仕事にたずさわるようになってから早いもので1年と8ヶ月。取材や撮影であちらこちらを飛び回り、デスクに戻れば執筆作業。なかなか思うように、見たい地車も見に行けないことに苛立ちすら覚えることもしばしば・・・・。
しかし、「それは仕事」と割り切って、一人でも多くのユーザーの皆さんに、愉しんでもらえるサイトづくりをと、日々奮闘の毎日・・・・(けっこう気ままにさせてもらってますが)。

私自身、あちらこちらの地車を見に行くようになって、十数年。それでも、まだお目に掛かったことのない地車も多数あり。

そんな中で、今年ようやく念願が叶い、初めて見ることができた地車があります。

前置きが非常に長くなりましたが、今年最後の『だん通』は、その一台をご紹介しましょう。

その一台は、彼の高槻市東天川の地車。

東天川1

10年ほど前のとある日、地車関連誌で紹介されていた写真を見て、「これは見とかなぁ~!」と思い焦がれた地車にようやくのご対面・・・・。

私が東天川を訪れたのは、10月11日の日曜日。
現在は曳行されていませんが、飾付けされた地車は同所春日神社境内の地車小屋から出され、境内に留め置かれていました。

東天川2

この地車は、江戸末期に製作されたものと言われており、製作大工は不明ですが、彫物は《相野》一門の手によるもの。
各方面で、見送りが幕式の《大阪型》地車と紹介されていますが、前梃子を差し込むように土呂台が細工されていないので、私なりに少々疑問が・・・・。

まず、ひときわ目を引くのが、勾欄部分。
前部の擬宝珠の上には「飛龍」の飾金物、左右には大きな「龍」の彫物。

東天川3

東天川4

そして四方を囲むように「板勾欄」とも言える彫物が縁板の上(勾欄の前)に取り付けられています。

土呂幕の正面・左右は「竹に虎」の彫刻。その勇猛な姿の素晴らしいこと。

東天川5

台木には「龍宮 珠取り」の物語も刻み込まれ、その木口にも、前部に「牡丹に唐獅子」、後部に「波に兎」の彫刻が取り付けられています。

東天川6

東天川7

また、《相野》一門の彫刻もさることながら、縁板や曳き綱鐶の飾金物の細工の細かさにも目を見張るものがあり、この地車のいたる所に贅を尽くした細工が見られ、私にとっては「珠玉の一台」というにふさわしい地車でした。

東天川8

当日は野田・前島と、同市三台の地車を見学。私にとっては夢心地の一日でした。

前島の地車については、以前『だん通』でも紹介しましたが、野田の地車についても、またの機会に書いてみようかと思いながら、平成21年最後の『だん通』はこれでお終い・・・・。

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ユーザーの皆さんにとって、来る平成22年が素晴らしい一年でありますよう。
来年ももよろしくお願い致します。
信濃屋お半だんじり通信
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