茶屋のだんぢり漫遊録

目次

こだわりの一台、八田南之町の新調地車・・・・

毎度、だん馬鹿っすパー

全国1000万人の地車ファンの皆さん、そして何人おるかわかれへんけど地車中毒者の皆さん、お元気でいらっしゃいますか?
この季節、なかなか地車を見られる機会もなく、悶々とした日々を過ごしている方も多いのでは?
特に地車中毒者の皆さんは、未曽有の禁断症状に苛まれていることでしょう。
『だ』の文字を見ただけで「えっ、だんじり・・・・」と思ってしまう人は、もはや重傷者。四六時中、耳鳴りのように「だんじり囃子」が聞こえると言う人は、幻覚症状の現れかと・・・・。
でも、霊柩車の屋根を見て、「あっ、だんじり」と思ってしまうことって多々ありますよねぇ~(これも幻覚・・・・笑)。

私「だん馬鹿さん」もこの季節は、ネタ切れで右往左往することもあるのですが、「このネタはオフシーズンに取っておこう」と思い、そのまま忘れてしまうことも度々。
でも今日の「だん通」は、満を持しての大ネタ!?
昨年8月30日(日)に入魂式がおこなわれた堺市八田南之町の新調地車のご紹介です。

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入魂式から言うてる間に半年。八田南之町には日頃からお付き合いさせていただいている方々も多いため、念には念を入れて、三回くらいに分けて書いちゃおうかと・・・・(これでネタ切れも解消やぁ~)。
ほなら、ボチボチ本題にいきまひょぉ~! 南之町の皆さん、お待っとうさんでしたぁ~!!

夜も明けきらぬ8月30日(日)の早朝、製作にあたった大下工務店の回送車に載せられた真新しい地車は同町に到着。この日を今か今かと待ちわびた多くの町民の見守る中、早速回送車から降ろされ、町内所定の場所まで移動。

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町民の誰しもが夢見た新調地車に感無量、喜びに満ちあふれた表情が印象的でした。

午前6時、ようやくあたりも白み始め、入魂式の神事がおこなわれる蜂田神社(鈴の宮)に向けて曳行開始。これまた新調された纏の先導で、地車はゆっくりと動き出しました。

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町内から、宮園団地、キリン堂を曲がり、堀上の町並を抜け、全力疾走で氏神さまである蜂田神社神社へ到着。神社鳥居前の駐車場に駐められ、祭壇が組まれ、入魂式が始まりました。
八田荘地区全町からもお祝いに駆けつけ、真新しい地車を一目見ようと訪れた多くの地車ファンでごった返す中、神事も滞りなく終了。町会役員をはじめ、新調委員の皆さんもホット一息。

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午前7時、お披露目曳行スタート。八田寺・毛穴・平岡の各町を廻り、再び蜂田神社前に戻ってきました。
八田荘小学校横の交差点で、豪快な「やりまわし」を披露。訪れた見物人から歓声が沸き上がり、交差点を疾風の如く駆け抜けて行きました。

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その後、八田北町の町内を抜け、宮園団地まで曳行。途中で少々アクシデントもありましたが、午前10時頃には自町へ到着。お披露目曳行も終了と相成りました。

⇒入魂式のムービーを見る

⇒入魂式の写真を見る

さて新調された八田南之町の地車、同町にとっては五代目の地車であるとか。

⇒同町地車の詳細を見る

大屋根は、「二重破風入母屋造り(通称 軒唐破風)」で細工。これは昭和59年に新調された、同町先代地車(現 和泉市黒鳥地区郷小路地車)から引き継いだもの。

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岸和田型地車としては、昭和62年に新調された堺市上神谷地区豊田の地車以来、22年振りの大屋根二重破風の地車の誕生。
岸和田型地車に初めてこの造りの破風型が登場したのは、昭和8年新調の岸和田市筋海町の地車。
それ以来、数多くはないが製作されてはいるものの、大修理の際に普通の唐破風に造り替えられることも多く、現在ではあまり見られなくなってしまいました。
平成の世になって、初めての軒唐破風の新調地車。南之町諸氏のこだわりのひとつかと・・・・。

また、小屋根左右枡合の上部には「支輪(しりん)」と呼ばれる、寺社建築に用いられる部材が使用されています。
これも、「他町の地車にはないぞぉ~」という、南之町諸氏のこだわりとも思えます。

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その他にも、地車の全高が3メートル73センチ。
これも、町名の「ミ・ナ・ミ」に引っかけた語呂合わせであるとか・・・・。

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近年新調された地車の中では決して大きい地車ではないにしろ、同町の所帯数 百数十件にしてはそこそこの大きさ。
背丈はさほど大きくはないが、全長4メートル6センチは、岸和田旧市地区で大正から昭和初期に新調された地車の大きさとは大差なく、一昔前の岸和田型の標準サイズにほど近いもの。
しかし、数字が示すよりも実際には大きく感じられ、均整の取れた名地車であると思うのは私だけなのでしょうか・・・・。

さてさて、「お次はの彫物紹介に突入!」といきたいところなのですが、今日の「だんじり通信」はこのへんでお・し・ま・い・・・・。
彫物の構成にも「こだわり」が感じられる同町の地車。続きは、次回のお楽しみ・・・・!
信濃屋お半だんじり通信
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