こだわりの一台、八田南之町の新調地車・・・・其の参
まいどぉ~、だん馬鹿っす

「鬼は外、福は内・・・・」。昨日は節分。
そして、今日は立春。二十四節季のひとつで、今日からが春の始まりとされる日。
また、一年の始まりともされていた日でもあります。故に昨日の節分は大晦日にあたり、「年越し」と言うのも納得納得。
よって、節分は一年の邪気を祓い、来る年の無病息災を祈願する日でもあるのです。
今やスーパマーケットでは、福豆や巻き寿司が並び、バレンタインデーとともに二月商戦の目玉なんだとか?
昨日は、「巻き寿司の丸かぶり」をされた方も多いとはおもいますが、元々は大阪海苔問屋協同組合が海苔を使用する巻き寿司販促キャンペーンとして昭和40年代から広められたもの。
ちなみに今年の恵方は『庚(かのえ)』の方位。ポスターなどでは、「西南西」と記されていることが多かったのですが、正確には「西と西南西の間の方角」。
でも、正確に恵方を向いて巻き寿司食べてる人ってどれぐらいいるんでしょうかねぇ~!?・・・・(笑)
さて今日の「だんじり通信」は、またまた堺市八田南之町新調地車のご紹介 第三弾でおます。
前回の「だん通」で書いたとおり、南之町の『神へのこだわり』は大屋根廻りにも見られるのですが、ここで少々、同地車の基本的な彫物構成を書いておきましょう。
大屋根廻りと松良は日本神話からの題材。大屋根下の腰廻り(松良を除く)と小屋根廻り、見送りは「源氏」関連の題材。勾欄合や見送り下は、「廿四孝」や「唐子あそび」の『中国もの』でまとめられています。
ほなら、前回の続き、『神へのこだわり』は大屋根廻りにも顕著に見受けられるんです。
まずは前後の懸魚と左右の枡合上部(二重枡合上)に施された「朱雀」・「玄武」・「白虎」・「青龍」の『四神獣』。

朱雀は南、玄武は北、白虎は西、青龍は北と、各方位を守る神として、古来から都市計画や寺社建築などにも用いられ、高松塚古墳の壁画は特に有名。朱雀門や虎ノ門などの名前もこの『四神獣』を守護神として配置したものです。
だんじり祭の花方とも言える「大工方」のみならず、地車そのものも守っているのでしょう。これも『神へのこだわり』。
そして、大屋根車板・枡合はおなじみの『日本神話』からの題材。

正面の車板に「國生み」。天の浮き橋に立ち並ぶ伊邪那岐(イザナギ)・伊邪那美(イザナミ)の二神の姿。天の沼矛(あめのぬぼこ)という矛を用いて大八島国(日本の国)を作った話。

大屋根後の車板には「天孫降臨」の場面。天宇受売命(アメノウズメノミコト)と神々を迎える猿田彦大神(サルタヒコオオカミ)。その横には瓊々杵尊(ニニギノミコト)の姿であろうか・・・・?

正面の枡合には「天児屋根命(アメノコヤネノミコト)、神鏡を以て怪異を顕す」。この神様は、氏神である蜂田神社の主祭神である。また、八田荘ゆかりの蜂田連は末裔にあたる。

右の枡合には「三韓退治」。全国に多数ある「源氏」の氏神とされる八幡神社の主祭神、誉田別命(後の応神天皇)の母 神功皇后の話し。彼女もまた八幡神社の祭神である。

左には「国譲り」。大国主命(オオクニヌシノミコト)に国譲りを促す、建御雷神(タテミカズチノカミ)と天鳥船神(アメノトリフネノカミ)。大国主命は、七福神の一人、大黒さんとも言われ、近畿各地からの参詣でにぎわう奈良県桜井市の三輪神社の祭神でもある。

大屋根後の枡合には「日本武尊(ヤマトタケルノミコト)、草薙の剣」の物語。日本武尊は和泉国の一の宮、大鳥大社の祭神である。
また、腰回りの一対の松良も『日本神話』。
右は「神武東征」、左に「天の岩戸」。

神武天皇は、我が国初代の天皇であり、奈良県橿原市の橿原神宮に奉られている。

「天の岩戸」は、地車彫刻でも超メジャーな図柄。岩戸に隠れた天照大神は、伊勢神宮内宮に奉られ、我が国の総氏神である。
そして、小屋根廻りにも神さまたちが・・・・。

小屋根車板には「素盞嗚尊(スサノオノミコト)、八岐大蛇退治」。これもポピュラーな題材であるが、京都祇園八坂神社の祭神こそ素盞嗚尊。
「だんじりは祇園祭の山や鉾から派生した」と言われるように、だんじりとは切っても切れない神様かと・・・・。
オッと、小屋根左右にも彫られているのを忘れる所であった。

右は「安芸宮島、弁財天の戒め」。隆盛を極めた平清盛に「いくら権力者でも神技と等しい行いができるか?」と宮島弁財天が清盛の威勢を挫ている場面。
宮島弁財天は市杵島姫(イチキシマヒメ)とも言い、世界遺産「厳島神社」の祭神である。

左には「仁田四郎、冨士の人穴に入る」。地車彫刻でこの題材は珍しく、「冨士の巻狩り」や「蘇我物語」に登場する仁田四郎が源頼朝の命を受け、富士山の人穴を探索する逸話。
話しの内容は色々あるようですが、彫られた神様は冨士浅間神社の祭神 木花咲耶姫命(コノハナサクヤヒメノミコト)かと・・・・(浅間大菩薩とも言うのか?)。
まぁ~、そのうち発行される新調記念誌で確認せねば・・・・。
そうそう、ここにも神さまが・・・・。
大屋根の組み物に入れられた前左右の隅出すには「飛天」が刻まれています。

飛天は仏教で諸仏の周囲を飛行遊泳し、礼賛する天人。仏像の周囲(側壁や天蓋)に描写されることが多く、法隆寺金堂の壁画はつとに有名。
仙人が彫られた隅出すはたまに見受けられるのですが、飛天は数ある地車でも初めてお目に掛かかりました。
羽衣をひるがえし空を舞う天女の姿のたおやかなこと。飛天もまた、天界の神のひとりかと・・・・?
長々となりましたが、八田南之町の新調地車を拝見させて頂いて、私なりに『神さまへのこだわり』を非常に強く感じた次第。
新調委員の方々がどのような意図でこれらの図柄を考えられたのかは、知るよしもありませんが・・・・(偶然だったりして?・・・・これは失礼)。
まぁ~、二回にわたって『神さまへのこだわり』を書きましたが、まだまだこの地車には私の『だん馬鹿心』をくすぐる彫物が・・・・。
これは、次回の『だんじり通信』へ続くちゅうことで、今日はこれでおしまい。
<<前の記事 | 次の記事>> |