茶屋のだんぢり漫遊録

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こだわりの一台、八田南之町の新調地車・・・・最終回

まぁ~いど、だん馬鹿っすパー

先日来、三回にわたって書いてきた『こだわりの一台、八田南之町の新調地車・・・・』も、いよいよ今回が最終回。
私にとって友人・知人が多い関係上、「ちょっとサービスしすぎ」な面もあるかも知れませんが、それはご容赦のほどを・・・・。
しかし、私の「だん馬鹿心」を非常にくすぐってくれた一台であることは、紛れもない事実。
ほな、最終回に突入です!

地車の彫刻には、「合戦もの」・「退治もの」など殺伐とした場面が非常に多く見受けられます。
しかし、そのような彫物の多い中、私たち見る者の心を和ませてくれる題材も取り入れられています。

南之町の場合、勾欄合や見送り下の「中国もの」の彫物、物見に彫られた「風神・雷神」・「仙人」などがそれにあたります。

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勾欄合の『廿四孝』は、中国の親孝行にまつわる故事。その24の話の中から18をセレクト。

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中国では、「わが子を義生にしてでも、親を助ける」という思想があるらしく、各々の内容を調べてみると、日本ではちょっと考えられない「えぐぅ~い」内容の話も登場します。
少々ナンセンスなものもあるのですが、興味のある方は書物やインターネットなどで調べてみて下さい・・・・(このオフシーズンのええ暇つぶしかと!?)。

見送り下の連子には『唐子遊び』。中国の子供たちのほのぼのとした表情は、私たちの心を和ませてくれます。
後正面に「鶏遊びと司馬温公の瓶割り」。

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右に「雪遊び」、左に「だんじり遊び」。

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後半松良の右には「櫻花遊び」、左に「水遊び」
地車彫刻としては、上だんじり・下だんじりを問わずよく用いられる題材ですが、南之町の場合は少々一工夫。

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鳥と戯れる子供たち、よくみてみると地面には何やら丸いものが・・・・。どうやら、子供が与えたエサのよう。

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割れた瓶から流れ出る水。その水の所には瓶の中で泳いでいた金魚であろうか・・・・。

ユーモアたっぷりなのが、水遊びに興じる子供の中に一人、立ち小便している子供。まさに「小便小僧」である。

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新調委員諸氏のユーモアか、彫物師の遊び心・粋な計らいなのか、探せばもっと見つかるかも・・・・。
ほんまに、見る者をほのぼのとさせてくれます。

そして忘れてはいけないのが、大屋根左右の枡合の前に取り付けられた「下がり」と呼ばれる部分。

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一見、雲の間に見え隠れする楼閣と何やら丸い物体。
「なんじゃこりゃぁ~」と思ったら、友人T君曰く、「蜃気楼」。
大ハマグリが気を吐き、楼閣が見え隠れしているのだとか。

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「下がり」の部分には、雲や花鳥物の彫刻が施されるのがほとんどですが、蜃気楼とは、意表を突く題材。「よぉ~考えちゃぁ~る」ってな感じ・・・・。
近畿一円900台、泉州地域300台、数ある地車の中で他にもあるのかないのか?
探してみるともう一台・・・・。見つけることができました(友人の巨漢I君に教えて貰ったのですが・・・・)。
どこの地車なのかは、ちょっと内緒。皆さんも探して見て下さい!!

4回にわたって紹介しました、昨年新調された堺市八田南之町の地車。
私なりに、南之町新調委員諸氏の地車に対する『こだわり』を強く感じました。
私の『だん馬鹿心』を非常にくすぐってくれた、こだわりの地車。
見せていただきました南之町の皆さん、ありがとうございました。
また何かあったら誘って下さいねぇ~!

信濃屋お半だんじり通信
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