茶屋のだんぢり漫遊録

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今年も春は神戸から! 東灘区田邊の入魂式・・・・

毎度、だん馬鹿でおま!

桜の花も今が満開! まさに春爛漫!!
しかし、早い所では桜の花も散り始め、風に舞い散る花びらもこれまた風情・・・。
「花は桜木、人は武士」と言われるように、散り際のいさぎよさは、古来から我々日本人の美学。
散ってしまえば「葉桜見物」と称して、これまた花見。何かにつけてお酒を呑むのも、日本人。
わたしゃ、「花より団子」ならぬ、「花よりお酒」の人の方が多いと思うのですが・・・・。

桜の花が終われば、お次は新緑の頃、今年も春は神戸からだんじり祭がスタート。
我々、モバイルテレビジョン地車撮影隊も東奔西走右往左往の日々へと突入となるのです。

5月の連休は言わずとも知れた神戸のだんじり祭。
5月の祭礼まで一ヶ月を切り、神戸の方々はさぞかし準備に忙しいことでしょう。

祭りを前に、去る4月3日(土)、東灘区本山地区田邊の地車の修理が完成し、装いも新たに入魂式・お披露目巡行がおこなわれました。

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田邊の地車は、明治期に《住吉大佐》の手により製作された『神戸型』の地車。
彫物は、堺の《彫又》一門の作とされていますが、《彫又》二代目 西岡又兵衛の弟子で後に《小松》九代目 小松源助を名乗った岡村平次郎をはじめとする《小松》一門の彫物師の手も多く入っているように思われます。
昭和4年に淡路島の淡路市(旧北淡町)の室津里組より購入したものと伝えられています。
平成5年にも淡路の《梶内だんじり》で修理されていますが、今回は西宮市の《杉田組》にて修理され、去る3月28日(日)に町内へ搬入されていました。
脇障子などの新調彫物は、富山県井波の酒井 宏 師が担当。錺金物は京都の《後藤社寺錺金具製作所》が製作にあたりました。

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『神戸型』とは言え、大阪府下で多く見られる『大佐型』とも称される地車の形態。
もちろん「外ゴマ」で、見送りは「幕式」。前部の縁葛部分は曳き出し式の舞台に細工されているようで、縁葛の彫物に切れ込みが入っていました。
大屋根正面鬼板は「素盞嗚尊」、懸魚に「櫛稲田姫」、隣懸魚左右と車板に「龍」をあしらい、三位一体で『素盞嗚尊、八岐大蛇退治』。

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小屋根懸魚に「牛若丸」、車板・隣懸魚に「鞍馬山の大天狗と烏天狗」で『牛若丸、鞍馬山修行の場』。

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勾欄合には『冨士の巻狩り』。

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縁葛には『一の谷の合戦』の場面。

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土呂幕には『那須与一、扇の的を射る』・『義経、八艘跳び』などの名場面が彫られているのだが、左右は担い棒(棒鼻)で隠れて見えないのが残念。

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当日は、午前中に地車小屋に神主さんや関係者を招き、曳行の無事と氏子の安全を祈願し入魂式。
神事や来賓挨拶、大工・彫物師・関係者の紹介などがおこなわれた後、式典出席者らの記念撮影もおこなわれました。

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いよいよ午後からは、お披露目曳行のスタート。

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半被姿の若衆の手に委ねられた地車は、田邊の町を所狭しと巡行。

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田邊独特の鳴り物に合わせ、JR摂津本山駅から阪急岡本駅周辺まで勇壮華麗に巡行されました。


神戸は、これからが祭り一色。
来る4月18日(日)には、同じ本山地区 田中の地車も二年越しの大改修が完成し、お披露目が行われる予定だとか。
本山地区の祭礼は5月4・5日の両日(一部地域は3・4日)。
装いも新たになった田邊・田中の地車を見に行かれてはいかがでしょうか。

信濃屋お半だんじり通信
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