茶屋のだんぢり漫遊録

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あっと驚く裏技!寺門町新調地車・・・・最終回

毎度、だん馬鹿でおますチョキ

FIFAワールドカップの日本チームの決勝進出で湧き上がる中、熱狂だんじりファンの皆さんはいかがお過ごしでしょうか?
連日連夜のワールドカップ観戦で、お疲れの方も多のでは・・・・?
中には、世間の話題から取り残されぬよう、好きでもないサッカー観戦に四苦八苦している人もいるようですが、それはそれで間違いなく「善戦」!
岡田ジャパンの決勝トーナメント進出に値するほどの戦果かと。
「非国民」と後ろ指をさされないように、我が日本チームを応援しましょう!!
がんばれ日本! 頑張れ岡田ジャパン!!

さて、今日の『だん通信』は、前回・前々回に引き続き、和泉市郷荘地区 寺門町の新調地車の特集です。
惜しまれながらも?、今回が最終回。
あっと驚く、裏技的細工をここに披露つかまつるぅ~!

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岸和田型地車の大屋根正面枡合によく見られる図柄のひとつ、『天の岩戸』があります。

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弟 素盞嗚尊の暴挙に立腹した天照大神が天の岩戸の中に閉じこもってしまい、あたりは真っ暗闇の世界。
困り果てた神々が相談し、歌え踊れの大騒ぎを繰り広げ、それに驚いた天照大神が岩戸のすき間から外を見たのを幸いに、力の強い天手力男命が岩戸をこじ開け外へと出したのがこの話し・・・・。

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この寺門町の正面枡合にも、この図柄が用いられているのですが、入魂式当日に配布された彫物図柄表には、大屋根枡合後面にも「天の岩戸」の文字が・・・・。
こりゃ、よくあるミスプリントかと思いながら、「ホントはなに・・・・?」と思い悩むこと約3週間、記念誌写真撮影の当日、真っ先に確認。
そこには、女性と思しき後ろ姿が見えたのでした。

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こんな図柄、見たことない!「なんじゃこりゃ」と思いながら思案すること、数十秒・・・・。
もしやこれは、「天照大神が天の岩戸へお隠れになる場面」ではないかと、同町のU君に尋ねたところ、「ピンポォ~ン、ご名答!」。
ミスプリントではなかったようだ。

ここで、U君曰く、「顔も見れますよぉ~」。
後姿の天照大神。なんで顔が見れるのかと思いきや・・・・。

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なんと、地車内部の組み物が取り付けられる枡合の心板が長方形にくり抜かれ、
天照大神のご尊顔が見えているではあるまいか。
「なんと奇抜なアイディア」と感嘆することしばし・・・・。

勇壮ではあるが、殺伐とした合戦ものの彫物が多い中、ふと心和む粋な計らい、「これぞ遊び心」と、感心しまくり・・・・。
なかなか、恐れ入りました。

さて、記念誌の写真撮影の合間をぬって、じっくりとこの新調地車を拝見させていただいたのですが、ここでもうひとつ粋な計らいを発見。
普通、見送り内には新調完成した年月日・製作大工・彫物師の名前が記された標木や碑が取り付けられます。

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寺門町の場合は製作年月日が大脇の墨の盾に、彫物師の名前は見送り内の陣幕に記されているのですが、そこには製作大工《泉谷工務店》泉谷浩文 棟梁の名前が見あたりません。
よくよく探して見れば、それは見送り内の鎧兜を身に付けた武者の旗指物に記されていたのでした。

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それも、家紋・社紋がきちんと描かれているではありませんか。

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これもまた、「遊び心」のひとつ、「粋な計らい」かと、私自身ほのぼのとした気持になりました。

《泉谷工務店》泉谷浩文 棟梁の『出世だんじり』として産声を上げた寺門町の新調地車。
幾久しく、無事曳行されますことを願いながら、帰路につきました。

当日、お世話になりました、U君をはじめ
町内の皆さん、ありがとうございました。

なお、本日は「各町の地車」寺門町の彫物図柄を追加更新しています。
>>寺門町の詳細データを見る

ちなみに、泉谷 棟梁の次なる新調地車は、平成26年完成予定の堺市鳳地区 長承寺。
寺門町地車にも手を加えた、《木彫前田工房》前田暁彦 師が彫物責任者となり製作されます。

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前田 師にとっては、長承寺が『出世だんじり』。
若手二人のコンビで、どのような地車を披露してくれるのか、今から待ち遠しい限りです・・・・。

信濃屋お半だんじり通信
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