茶屋のだんぢり漫遊録

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貝塚市橋本新調地車レポ-その四

毎度、だん馬鹿ですチョキ

残暑厳しき頃、ユーザーの皆さんはいかがお過ごしでしょうか?
子供たち・学生諸君の夏休みも残すところ一週間。
小さな子供を持つ親御さんにとっては、これからが地獄はうー
残った宿題が、親の方に廻ってくることも・・・・。
親御さんも新学期に向けて勉強ですかねぇ~ぎょーん

さて、今日の「だん通」は前回に引き続き貝塚市橋本の新調地車レポの第4弾。
前回は小屋根廻り・見送りについて書きましたが、今日は見送り下をはじめ、その他諸々を御紹介。
惜しまれながらも?、今回が最終回でおます。

本来、見送り下は、角(隅)に半松良を施し、上から「縁葛」・「連子」・「水板」の三段で構成されるのが最もポピュラーなのですが、近年では半松良の変わりに「腰組」を用いたり、縁葛・水板を薄くし、連子を大きく取るなどの創意工夫が見られる場所でもあります。

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橋本の場合は、縁葛には麻の葉と毘沙門亀甲に茄子の「伊勢込み」を施し、連子を大きく取り、その下に勾配を付けた「台輪」様のものが取り付けられています。
そのため水板がないように感じられます。
その「台輪」様のもののせり上がった空間の奥に水板を施し、その前にユーモラスなネズミの彫刻が置かれています。

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両側面と後正面に2面、計4面がそれで、米俵を運ぶネズミの姿、宝物の詰まった袋を曳く姿などが滑稽かつリアルに刻み込まれています。

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その中のひとつには、「平成二十二年新調 橋本町地車 鼠宝運ビ」と記された帳面を広げるネズミの姿が見られます。
「コマネズミの様に勤勉に働けば、いずれは財を成す」との教訓なのでしょうか、なかなか面白い彫刻でした。

また、半松良は大きく砕かれ、一匹の龍が「縁隅木」や「縁板」を支えるかのように細工されています。

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大きく取られた見送り下の連子には、後正面に『真田幸村、槍摺りの鎧』、右に『佐久間玄蕃、秀吉本陣乱入』、左に『加藤清正、虎退治』。

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大坂冬の陣・賎ヶ岳の合戦・朝鮮の役に関連する図柄が、《木彫山本》山本仲伸 師の手により迫力満点に刻まれています。

小屋根隅出す・大脇上の「物見」に『童子遊び』、大脇上の「竹の節」には『童子と獅子舞』の図柄。

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いずれも、昨今見られなくなった情景が刻まれ、そのほのぼのとした表情に心癒されるよう・・・・。

前部腰回り「水板」には『近木川風景』、「幟台」には『橋本町往来橋』と題し、橋本の町を流れる近木川に架かる往古の福永橋。

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橋本に住む者にとっては、幼少の頃を懐かしむとともに、いにしえの昔から田畑を潤してくれた近木川への思いと感謝の気持ちを新調地車に刻み込んだのでしょうか。

さてさて、地元の橋本関連の題材が多く盛り込まれたこの新調地車。
町会、植山工務店、木彫山本が三位一体となり、完成しました。
10月9・10日におこなわれる祭礼では、どのような曳行を披露してくれるのか、今から待ち遠しい限りです。
末永く、安全曳行されることを願いながら橋本の町を後にしました。
皆さんも、是非一度、足を運ばれてはいかがでしょうか!

あっ、そうそう、橋本の地車の「番持ち」には今年の干支である『寅(とら)』の姿が迫力満点に彫られています。

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その「番持ち」は、その年の『干支』に毎年付け替えられ、来る平成23年は『卯(うさぎ)』。
毎年、その姿を見に行かねばと思う、今日のだん馬鹿さんなのです・・・・。

ほな、今日はこのへんで・・・・。橋本の皆様方、ありがとうございました。

信濃屋お半だんじり通信
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