今年最後の「だん通」は、思い出に残る地車との出会い・・・・
毎度、だん馬鹿です

平成22年も、残すところ5時間余り・・・・。
迎春準備は、もう終わりましたかぁ~?
あれやこれやと、地車三昧に終始した今年一年。
春の神戸から、酷暑で倒れそうになった大阪の夏祭り。雨に祟られた秋祭りなどなど・・・・。
何やかんやと言いながらも、今年見た地車は数百台・・・・(いちいち数えていませんが)。
正月元日から先日のクリスマスまで、今年もよくもまぁ~これだけの地車を見たものだと、我ながらアホさ加減に感心しまくり。
その中でも、印象に残っているのは数えるほど・・・・。
彫物の善し悪し、姿見の良さなどは別として、自分の思い入れの強い地車ほど、印象に残っているものです・・・・。
今年最後の「だん通」は、今年見た数多くの地車の中でも、私にとって特に印象に残っている一台を御紹介しませう。
その地車は、私にとって思い出深い一台。
思い起こせば7年前、平成15年10月12日の日曜日の出来事。
堺以南の泉州地域を中心に、摂河泉紀和各地でだんじり祭が盛大におこなわれていた日、「やりまわし」なんぞには目もくれず、奈良方面の見たことのない地車を見てやろうと、単身愛車ホンダフィットに乗り込み、朝早くからイソイソと出かけた私。
道すがら、午前中に東大阪・四条畷で二台の地車を見た後、お昼前に奈良県内に突入。
まずは生駒市上町の地車を見て、次に奈良市二名 富雄の地車を見ることに・・・・。
富雄の祭礼は前週だと思っていた私は、幸運にも全面腰組の施された「六つゴマ地車」を初めて見れたことに感激しながら、写真を撮りまくり。
そして次なる目的地、大和高田に向かおうかと思った矢先、「兄ちゃん、写真のモデルになったろか」と声をかけてきた賄いの御婦人が一名。
「ババアのモデルは、ええは・・・」などと冗談を交え談笑。
その後、御花を受け付けていた役員さんも入り、富雄の地車について話しをうかがう。
先程見てきた上町の地車の事などを話していると、モデルになりそこねたご婦人が「鹿畑にもこんなんあんねんでぇ~。今日ら、宮さん行ったら出してるでぇ~」と奈良弁で教えてくれました。
多くの地車研究の諸先輩方が調べに調べ作成された『地車分布表』にも載っていなかった「鹿畑」の名前。
「うそやろぉ~、そんなとこに地車あるのん誰も知らんでぇ~」と堺弁で答えると、「ほんまや、とめたまま置いたぁ~る」と真剣な表情・・・・。
「ほなら、だまされたつもりで行ってくるわぁ~」と、大まかな場所を聞き、神社を後に・・・・。
地図で調べ、見当を付け、来た道を北上。鹿畑の村落に入るものの、山合の村落はひっそり静まりかえり、祭りと言った様相は微塵も無し。
しばらくして、御神燈を発見。たまたま通りかかったお婆ちゃんに、地図にも載っていない神社の場所を聞き行ってみることに・・・・。
細く急な坂道を登って行くと、神社の提灯。まだまだ登って行くと、神社の玉垣。それを右手に曲がると鳥居。「素盞嗚神社」の額が付いた鳥居の向こうに地車の屋根らしきものが・・・・。
「こんな山の中では、誰も気づかんわなぁ~」と思いつつ、急いで車を駐め、神社へ向かうと、何やら様子がおかしい。
太鼓の音と共に、子供らの掛け声。鳥居の横の境内へと続く坂道を子供らに曳かれた地車が下りてくる・・・・。
「現役やんけぇ~!」と驚きながら、急いでビデオ撮影開始。

まさにこれが、奈良県生駒市鹿畑の地車との初めての出会い・・・・。
確か、四十数年ぶりの曳行再開の年だったような。
翌年は、友人・知人を大挙引き連れ、再度訪れたのが昨日のことのよう。
あの日から7年目の今年、三度目の鹿畑訪問・・・・。
祭礼本宮の10月11日の体育の日、神社境内にその地車はあの時の姿のままで留め置かれていました。

形態は、大阪府交野市や枚方市で見られる『北河内交野型』地車。
見送り・土呂幕には彫物が施されていない『幕式』の地車。
大屋根・小屋根は、「折り屋根」で細工されているのも特徴のひとつ。
しかし、交野市星田の地車とは違い、龍などの派手な飾金物の付かないシンプルなもの。
四条畷市や大東市などで曳行されている、重厚で超巨大な『北河内讃良型』とは違い、ひょろっと背の高い地車です。
地理的な要素から、鹿畑とはさほど離れていない交野市や枚方市あたりからやって来た地車に間違いないでしょう。

残念ながら、銘板や墨書きは見つかっていないため、製作年・製作大工・彫物師などは不明。

ひょんなことから発見に至った、鹿畑の地車。
このような出会いがあったればこそ、摂河泉紀和900台を越える地車が存在していても、この地車への思いはつのるばかり・・・・。
遠距離恋愛の恋人に、久しぶりに出会ったような心境でした。
来年も数多くの地車を見ることになると思いますが、鹿畑の地車と出会った時のような心ときめく感動があるのやらないのやら・・・・?
来る平成23年が、「新たな感動、新たな発見に遭遇するような年に」と願う、大晦日のだん馬鹿さん。
「だん通」をご覧いただいている皆さんにとって、「来る年が、幸多き年でありますように!」と願いながら、今年もこのへんで

来年もまた、よろしくお付き合いのほどをお願いいたしまするぅ~!!
<<前の記事 | 次の記事>> |