茶屋のだんぢり漫遊録

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古から受け継がれる、神戸の地車文化の一端を見た・・・・

ども、だん馬鹿ですパー

今年の冬は例年よりも寒かったのか、はたまた異常気象の影響か、梅の花もようやく見頃。

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先日訪れた神戸市灘区 河内國魂神社境内の梅の花もようやく満開ってな感じ。

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この河内國魂神社は、『五毛の天神さん』と称され、近隣住民や神戸市民から親しまれ、例年5月2・3日の両日におこなわれる春まつりには、五毛・畑原・上野・篠原の4台の地車が宮入りをおこない、多くの見物人を集める人気の地車スポットでもあります。

畑原が、昨年に東灘区住吉地区 呉田から地車を譲り受けたこともあり、いつ御披露目されるのかと地車ファンの間でも話題沸騰・・・・?。
ちなみに畑原にいる私の兄貴分のY氏やS氏の話では、4月中旬以降に御披露目がおこなわれるとのことで、今から待ち遠しい限り。

さて、先日のこと、灘区周辺を徘徊し、たまたま?この五毛の天神さんに立ち寄った時のこと、神社手前、参道脇にある五毛の地車小屋の前で、何やら怪しい事をしている面々を発見。
それも地車小屋を開けて、何やら作業をしているよう。

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五毛の地車を飾り付けされていない状態で見れる絶好のチャンスとばかり、神社の横に車を停め、カメラ片手に小屋を覗くことに・・・・。

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何をしているのかと行ってみれば、早くも5月の祭礼の準備、「こま」の段取り・・・・。

神戸の地車の「コマ」と云えば、皆さんも御承知の通り?、『外ゴマ』。
六甲の山々を背後にひかえ、坂道の多い土地柄がそうさせたのか、私の住む泉州地域や大阪府下、はたまた近畿一円の地車祭礼エリアの中でも、『外ゴマ』なのは神戸・芦屋・西宮あたりだけ。
台木の外側に「コマ」を取り付け、地車が横転しないように安定感を持たせているのでしょう。

その「コマ」も、泉州方面などで一般的に使われてきた松のムク材ではなく(近年は集成ごまも多く見られますが)、ケヤキ・楠(くす)・松などが使用され、円周に金属製の輪(通称ワッパ)をはめたものが一般的。
その地区の好みにもよりますが、ケヤキは耐久力や摩擦に強く美しい木目ですが、高価なこともあり、複数の部材を円形に組んだ『組みゴマ』を外側のワッパで締め付けているところも見受けられます。

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また、灘区のように坂の多いところでは、『つぶゴマ(つぐゴマ)』と呼ばれる、スパイクタイヤのような「コマ」を用いるところも・・・・。

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鉄のワッパの代わりに、円柱状の木を打ち込み、その木にロープや縄(以前は蔦の弦も)を巻き付けて作られます。

私がちょうど五毛の地車小屋のあたりを通りかかった時、おこなわれていたのが『つぶゴマ』の製作。

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摩耗し短くなったものを取り外し、新しいものを打ち込んでいるところ。

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直径10センチくらいの太さの赤松を25センチくらいに切り、鉋(かんな)で先をくさび状にし、コマの側面に開けられた四角い穴に、手際よく打ち込んでいきます。

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祭礼時に訪れることがあっても、準備の段階で訪れることもなく、泉州堺に住む私のとっては、なかなか珍しい光景。

この後に、ロープが巻かれるのですが、夕闇が迫る時間でもあり、私は撤収・・・・。
今週末あたりも、作業が続けられることでしょう?。

現在は坂道も舗装されていますが、地道の頃にはこの『つぶゴマ』が相当威力を発揮したことでしょう。
先人たちの知恵で考え出されたであろう『外ゴマ』や『つぶゴマ』も、云わば受け継がれる地車文化の一端。

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ゴトゴトと音を立てながら、坂道を登っていく地車に、風情を感じるのは私だけなのでしょうか。

では、今日はこのへんで・・・・。
信濃屋お半だんじり通信
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