茶屋のだんぢり漫遊録

目次

濱八町に、鮮やかな七色の吹きちりなびかせて・・・・

どもぉー、だん馬鹿ですパー

本家『だんじり通信』ファンの皆さん、お久しぶりでおます。
前回、9月10日の更新以来、早いもので半月、岸和田祭をはさみ、あれやこれやとやらねばならない事が山積み・・・・。
その間、PCサイト『だんじり eo SE』の方の「だんじり通信」は何とか更新を怠ることなくできたものの、本家の方は更新もできず、不徳の致すところ・・・・(申し訳ない)。

このままズルズルと、更新しない訳にもいかず、ここが正念場。
眠い目をこすりながらの原稿作成。
今宵アップできるのか、はたまた明朝の更新と相成りますかは、神のみぞ知るってかぁ~(9月25日深夜執筆)。
そんなこんなで、半月ぶりの本家『だん通』の始まりでおます。

さて、去る9月9日(日)大安吉日は、怒涛の入魂式ラッシュ。
その数、なんと7箇所・・・・。
今年は、地車の新調・買い替え・修理に伴う入魂式が非常に多く、私ら撮影部隊もスケジュール調整に悪戦苦闘。
この日は、4チームで早朝から撮影開始。
午後からは、羽曳野市誉田や東大阪市豊浦で試験曳きもおこなわれ、ハシゴならぬ秒刻みの掛け持ち綱渡り・・・・。
スケジュールの変更や時間の遅れで、撮影できなかったところも・・・・(涙)。

そんな中から、今日は新たに産声を上げた新調地車を御紹介。
そう、泉大津市濱八町は田中町の新調地車でおます・・・・。

皆さんんも、御承知の通り、本来ならば昨年に新調完成と相成るところでしたが、一昨年の秋祭り、本宮午後曳行終了間際に起こった悲しい出来事のため、新調地車の製作も一時中断。
昨年の秋祭りは旧地車の曳行を休止。

巷では、このまま新調も中止。はたまた、地車の曳行すら永久におこなわれることはないであろうなどと囁かれもしましたが、一年遅れで新調完成。
旧地車も松原市河合へ譲渡され、この晴れの日を迎えることができました。

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午前4時45分、真新しい地車は搬送車に積まれ、氏神様の大津神社横に到着。

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手際良く搬送車から下ろされた地車は、獅子噛み・箱棟が取り付けられ、午前5時40分に神社南側の鳥居をくぐり、神社拝殿前に止め置かれました。

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神事を後に控え、先代譲りの鮮やかな七色の吹きちり、祭礼旗が取り付けられ、準備も万端。

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午後6時過ぎから、地車の無事安全と末永い曳行を祈願し、神事が厳かにおこなわれました。

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新調された地車は、『岸和田型』と『堺・住吉型』地車の様式を組み合わせた『折衷型』上地車。屋根を支える組ものに化粧枡を施し、見送りはジオラマ風に立体形式で細工。

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昭和6年に新調製作された、上地車史上初めての仕様を継承しての今回の新調。
製作にあたったのは、代こそ違えども先代地車と同じ、岸和田の《植山工務店》。
現棟梁 佐野和久 匠、脇棟梁の七野徳重 匠が創意工夫を凝らし、丹念に製作されました。

彫物構成は、『源平合戦』を中心に、「前太平記」や「大江山の鬼退治」、「保元・平治の合戦」、「曽我物語」などからの題材が取り入れられています。

彫物は、泉大津市内に作業場を構える《彫武》松田武幸 師と、松田 師の盟友であり地元出身の立川靖雄 師の手によるもの。
両師のよる、大胆かつ斬新な構図には、力強さと新鮮さが感じられます。

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ひときわ目を引くのが、大屋根正面に彫られた「獅噛み」と、「頼光四天王、大江山鬼退治」の懸魚。
泉大津では、「獅噛み」のことを「鬼熊」とも称することもあってか、頭には二本の角、口には二本の牙が生えています。
大屋根後面も同様の「獅噛み」が施されていますが、小屋根には一本角の「獅噛み」。

いずれも稀に見る大ぶりな彫刻で、迫力満点。田中町の新調地車のシンボル的な彫物かと・・・・。

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さてさて、滞りなく神事を終えた地車は、いよいよ大津の町へとお披露目曳行の開始。

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この日を今か今かと待ちわびた、曳き綱を持つ少年少女、青年団諸氏たちの顔には満面の笑みが・・・・。

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後テコを操る拾伍人組の面々は、真新しい地車の挙動を確かめるべく少々緊張気味・・・・?

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古い街並みが今なお残る濱八町を縦横無尽に曳行。

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途中、大津屈指の名地車と誉れも高き上之町の地車が、祝福に出迎え、二台の地車が顔合せ。

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その後、午前11時からおこなわれる式典の会場である泉大津市役所駐車場まで曳行され、この日の御披露目曳行は無事終了。

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大津名物の「かちあい」、勇壮な「やりまわし」はおこなわれなかったものの、一目見ようと多くの地車ファンが詰めかけていました。

9月30日(日)には、泉大津市制70周年地車パレードと試験曳き。
そして、10月6・7日(土・日)の祭礼本番。
七色の吹きちりを風になびかせ曳行されることでしょう。
この地車で、どのような曳行を繰り広げてくれるのか、今から楽しみでなりません。

一昨年の悲しい出来事以来、紆余曲折、様々なことがあったことでしょう。
そのことを踏まえ、未来永劫、この地車で無事安全に曳行されますことを願いながら、本日の『だんじり通信』はこれまで・・・・。
この度は、新調おめでとうございました。


信濃屋お半だんじり通信
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