あるところには、あるもんです・・・・!
どもぉー、だん馬鹿です!
秋祭りシーズンも終盤戦。
残る地車の曳行も、明日・あさってにおこなわれる奈良県広陵町箸尾の櫛玉比女命神社『戸たて祭』で終了。
とは言うものの、11月中は毎週のようにおこなわれる地車参加型のイベントや地車の買い替えに伴う昇魂式などで、地車を見ることができる機会もまだまだありそうです・・・・。
さて、今日の本家『だんじり通信』は、本邦初公開、超レアな内容でお届けします。
昨年の暮れ、いやそれよりも前だったでしょうか、風の便りで「和歌山県九度山町に地車がある」との噂を耳にしました。
霊山 高野山へと続く山多き町、九度山町・・・・。
地車彫刻にも刻まれることが多い、『難波戦記』に登場する勇将、真田幸村が幽閉されていたのが、この九度山。
山里に点在する村落、どこの集落かもわからぬまま、月日は流れ私の記憶の中からも消え去ろうかとしていた矢先、お隣の橋本市内の祭礼が終わった数日後、ひょんなことから九度山町河根であることが判明・・・・。
それも、10月20・21日(土・日)が祭礼とのこと。
とりあえず、私の兄貴分でお隣の橋本市在住の地車研究家 I氏に連絡を取り聞いてみることに・・・・。
「以前、見たことはあるが、地元の大工さんが作った簡素なもので彫物も無かったような・・・」との答え。
共通の友人である橋本市職員のO氏が、一昨年くらいに見たとの情報もGETし、さっそくO氏にも電話。
「見には行ったが、小屋の隙間から見ただけで、小さなものであった」とのこと。
そうこうしている間に、I氏が以前河根に住んでいたと云う友人に連絡を取り、存在を確認。しかし、簡素な小型なものだと云う・・・・。
本来の秋祭りは10月の第二週目の日曜日であるが、今年は河根の氏神様である河根丹生神社の本殿の屋根の葺き替えなどの修復がおこなわれ、御神体を拝殿に戻す「正遷宮」とともに、10月20・21日が祭礼との情報。
日にちも間違いないそうで、「こりゃぁーどないしてでも確かめたろかい・・・!」と一念発起の大バクチ。
当サイトの撮影スケジュールを調整し、10月20日(土)の午前中に、九度山町河根の地を訪れてきました。
私の住む堺から、河内長野、橋本を経て、南海高野線九度山駅付近を午前9時前に通過。国道370号線を高野山方向へ・・・・。
高野下駅の手前で国道を逸れ、丹生川に沿って東へ直進。あたりは、山また山・・・・。
急なカーブを過ぎたところで視界が開け、河根の集落に到着。
驚くことに、道路沿いには万国旗が張りめぐらされ、さながら運動会のよう。
「なんじゃこりゃ?」と思いつつも、何十年に一度の「正遷宮」、村人たちを守り続ける氏神様の行事とあれば、村中総出の一大イベント。
一生に一度あるかないかの、大しごと・・・・。
神社へと続く急な坂道の下にはアーチが立てられ、「祝 河根丹生神社正遷宮」の文字。

氏子意識が失われつつある、都市圏では今や考えられない光景。
急な坂道を少し上り、右手が神社。
境内にも万国旗が秋風になびき、多くの村民が式典の始まるのを今か今かと待っている状況。

お目当ての地車は、境内には見あたりませんが、地車小屋らしき建物が・・・・。
ハッピ姿の方もおられ、初老の方に地車のことを聞けば、「曳くのは明日・・・」との答え。
地車は、翌日の曳行を前に飾り付けられ、小屋の中にあるとのこと。
「見るのなら、小屋へどうぞと・・・」と案内され、そして御対面・・・・。
小屋の中には、提灯・モールで飾り付けられた地車が、お尻を向けて入れられていました。

小ぶりで二つ屋根の「外ゴマ」の地車。

土呂幕の彫物は施されていませんが、見送りには三枚板の彫物が。

簡素ではあるものの、なかなかの出来栄えの彫刻。
屋根の鬼板は「獅噛み」ではないものの、懸魚や木鼻もキチンと施されています。

屋根を支える「枡組」もあり、小ぶりで簡素とはいえ、まさに「ほんまもん」の地車。
居合わせた70代半ばの方に話を聞けば、「子供の時分からあるでぇー」。
姿・形も昔と変わらずこのままで、今も山ひとつ越えた北側の集落まで急な坂道を上り、曳いて行っているとのこと。
曲がりくねった急な坂の多い山里ゆえ、安定を良くするため、「外ゴマ」で細工されているのでしょう。
私と同世代の方々らは、わざわざ見に来たのに驚かれた様子。
明日は来れないことを告げると、「連絡くれればいつでも出して、見せますよ」と、快い返事。
近々に再び訪れることを約束し、電話番号を交換。

午前9時半頃から、式典が始まり、私たちは河根の地を撤収・・・・。
同行していた河内長野市在住の地車研究家 K氏は、翌朝に再度、この地を訪れたようで、後日、私の元へ写真を届けてくれました。
その写真が、これ・・・・。

そして翌週の土曜日、橋本市学文路天満宮 祭礼での地車曳行撮影の午前中に無理を云い、小屋を開け飾りが外された地車を見せて頂きました。
その模様は、次回の『だんじり通信』で・・・・。
また、この地車について新たな事実が判明・・・・!
地車研究家、地車マニア、地車ファン必見!
次回『だん通』に、乞うご期待・・・・!!
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