茶屋のだんぢり漫遊録

目次

岡山県倉敷市児島 大畠にだんじりが・・・・

どもぉー、だん馬鹿ですパー

前回の『だん通』で紹介しました、弊社「平成弐拾五年癸巳 地車暦」の新規販売店、河内長野市の『カメラのタカラヤ』さん。

「カメラのタカラヤさんは、明日の『だん通 eo SE』で・・・」なぞと地図付きで紹介するようなことを書いておきながら、完璧に忘れてしまっていた先週の火曜日。
「なぁ~んか忘れてるやん」と、思いだしたのは木曜日の午後。

最近、やたら物忘れが多くなった私 だん馬鹿さん。
そんなこんなで、先週金曜日の『だん通 eo SE』では、ちゃぁ~と地図付きで紹介していますので、よろしくお願い致します。

何度も言うようですが、一部500円で販売しています・・・
(こんだけ書いたら売れてないみたいやん・・・・笑)。

さて、今日の本家『だんじり通信』は、前回軽く触れた岡山県下某所の『だんじり』と思しきものの本編へと突入。

今秋に私が岡山県牛窓を訪れた際に、右も左も解らぬ私を案内してくれた私の友人の息子で、岡山在住の宮大工の卵牛窓のT.S君。
私と別れ、午後からは某所でおこなわれているお祭りへと馳せ参じ、送ってくれた写真の数々。

その中には、我られが日ごろから『だんじり』と呼び交わしている曳きものの「山車」が写っていました。

場所は、岡山県倉敷市 児島大畠(おばたけ)
地元の氏神様、大畠海神社の秋祭り・・・・。

まずは、南町(奥町)「千歳楽(せんざいらく)」

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我々が、日ごろから太鼓台・布団太鼓などと称している「担ぎもの」。
布団太鼓は、西日本を中心に広く伝搬し、岡山では「千歳楽(せんざいらく)」、遠く長崎県では「コッコデショ」、四国などでは「ちょうさ」などと呼ばれています。

そして、これが北町の「曳きもの」。

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一見、ひとつ屋根の『だんじり』ですが、コマは台木の外に大八車のような車輪が4つ。
地元でも、『だんじり』と呼ばれているそうです。

唐破風屋根に、獅噛み・懸魚なをはじめ彫物も施されています。

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さほど古さは感じられず、近年になって製作されたものなのかも知れません。

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鳴りものは、小太鼓に半鐘。
屋形の中には、龍首を持つ御座船の造り物が乗せられているよう。

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梶棒(テコ)のある方が前、太鼓・半鐘が乗せられている方が後部だと思うのですが・・・・。

T.S君のメモ書きにもありましたが、北町には神輿もあり、祭礼時には南町の「千歳楽」と2台で激しくぶつけ合う「山合わせ」のような事がおこなわれているとか。
過去には死亡事故もあったとかで、その激しさがうかがい知れます。(動画は、YouTubuで紹介されています)。

お次は、仲町の『だんじり』。

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前後に大小ふたつの唐破風屋根を持つ『曳きもの』。
独特の破風の形が印象的・・・・。

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柱には、龍の彫刻。

小屋根の下の見送り部分には七福神が彫られた「三枚板」様の彫物が三方に配され、彫物師の銘・落款と思しき文字が刻まれています。

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驚くべきは、六つのコマ。

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こちらも前部に梶棒が付き、腰廻りには彫刻を施した「縁葛」・「土呂幕」・「水板」の三段構造・・・・(『岸和田型』地車風に書いてみました)。

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「縁葛」の角の下には、『岸和田型』地車の「松良」風の「持送り」らしきものが施され、その下の「水板」の所には肩背(担い)棒が取り付けられています。
台木の両端、「波頭」の部分には、「麒麟」の彫刻。
台木には、「波に魚介や亀」の彫物。

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これまでに大規模な修理がおこなわれているのか、ニスが塗られ、所どころに彩色が施されいるため、古さは伝わってきませんが、なかなかの出来栄えの彫物が配されているようです。

そして最後は、川町の『だんじり』。

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こちらも、仲町と同様に大小ふたつの唐破風屋根に六つのコマ。

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小屋根下の見送り部分には「富士の巻狩り」をあしらった「三枚板」様の彫刻。

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小屋根下の内部には「えべっさん」の像が祀られています。

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鬼板や懸魚は欠損し、屋根の葺地も無く、相当老朽化が進んでいるように見えます。

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倉敷市児島 大畠海神社の祭礼は、例年10月第4週の土曜・日曜におこなわれています。
北町・仲町・川町の『曳きもの』。
いずれも、我々が『だんじり』・『地車』と日ごろから呼びかわしている『曳きだんじり』の範ちゅうに位置するものでしょう。

製作年・製作大工・彫物師・購入経路など、近畿に住む私たちにとっては調査・資料を得るのも至難の業。

この大畠のお隣、児島の鴻八幡宮の祭礼には、なんと17台の『だんじり』と1台の『千歳楽』が存在
また、同じ岡山県下の久世まつりや勝山まつりは、だんじりをぶつけ合う『喧嘩だんじり』として有名。久世は10台、勝山は11台。

昨年の晩秋、当サイト『だんじり』のスマホ版DXコンテンツの『祭みてある記』では「津山まつり」を紹介。
また、当『だんじり通信』でも、牛窓のだんじりを紹介しましたが、我々近畿に住む者にとっては余りなじみのない岡山県下の『だんじり』。

今後の研究課題のひとつなのかも知れません。
今後機会があれば、実際にこの目で確かめ、多くの地車ファンの方々に紹介せねばと思いながら、今日の『だん通』はこのへんで終了~。

写真を送ってくれたT.S君、ありがとうございました。
地車研究者の一人として、益々の活躍を期待しています。
岡山県下の地車調査にチャレンジだぁ~!

信濃屋お半だんじり通信
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