茶屋のだんぢり漫遊録

目次

東備前 大賀島寺のだんじり・・・・

どもぉー、だん馬鹿ですパー

前回の『だんじり通信』は、岡山県瀬戸内市邑久町豊原にある大賀島寺で例年4月29日(祝)におこなわれている『権現まつり』のさわりをお届しました。
そして、いよいよ本日は、その『権現まつり』の全貌が明らかに・・・・。

この『権現まつり』は、「天台宗 大雄山 大賀島寺」の境内に祀られている『大智明権現』の春まつりのことで、その盛大さは岡山県内ではつとに有名です。

このお祭りは、大賀島寺の僧侶により執り行なわれ、これは明治初頭までの神仏混淆の名残を今に伝えています。

このお祭りに曳きだされているのが、豊安(とよやす:邑久町豊安)・円張(えんばり:邑久町豊原)・仁生田(にぶた:邑久町北島)・邑久郷(おくのごう:岡山市東区)4台のだんじりで、豊安・円張・仁生田の3台は瀬戸内市の有形民俗文化財指定を受けています

まず、豊安のだんじりは、同じ瀬戸内市牛窓町で見られる御座船様式の『船だんじり』。
別名を『権現丸』と言い、舳先には牛窓と同様に大きな龍首の彫物が施されています。

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船尾には「竹に虎」をあしらった見事な彫刻が施されています。

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コマは3軸6輪で、牛窓のものが船体の上に二層の屋形を有するのに対し、こちらは一層。
製作年代は明治期と推定され、宮大工 中村嘉太郎の手によるものと言伝えられているそうです。

円張のだんじりは、『一枚屋根式だんじり』。

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唐破風の屋根は、社寺建築にみられるような「桧皮葺」

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コマは3軸6輪かと思いきや、真ん中の軸が3輪で、2-3-2の7輪。
製作時期は、元治2年(1865)頃との言伝えが残っています。

仁生田のだんじりもまた、『一枚屋根式だんじり』。
コマは、2-1-2の3軸5輪。

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屋根の懸魚に彫られた「龍」の彫刻がひときわ目を引き、明治期に井上青竜亭が細工したと言われています。

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邑久郷のだんじりも、『一枚屋根式だんじり』。
製作年代や製作大工・彫物師などは不明。

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いずれのだんじりも、岡山県の南東部、東備前の寺社建築などに手を加えた宮大工・彫物師の作と考えられ、神獣や花鳥もの彫物が細工されているようです。

この『権現まつり』で曳行される4台のだんじりを収蔵する小屋は全て境内にあり、各集落を曳行することはなく、本堂で子供たちによる「シャギリ」と呼ばれるお囃子が奉納された後、大賀島寺がある大雄山の山頂に設けられている御旅所まで、その「シャギリ囃子」のリズムに合わせ、各集落のだんじりが曳行されるようです。

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その後を追うかのように、権現様の六角形の神輿が若者たちに曳かれて行くそうです。

また、秋にはこの大賀島寺のある邑久町豊原の東隣の同町下山田の下山田八幡宮でも4台の『一枚屋根式だんじり』が曳き出されているそうです。

残念ながら、今年は訪れることができませんでしたが、来年こそは「シャギリ囃子」を聞きがてら、見に行ってみたいものです。

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なお、邑久郷の「シャギリ囃子」は、岡山市の伝統郷土芸能に指定されているそうです。

では、今日の『だんじり通信』はこのへんで、失礼します・・・・(ペコっ)。

信濃屋お半だんじり通信
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