茶屋のだんぢり漫遊録

目次

だんじり馬鹿のうるさいオッサン、堺市鳳地区 新在家の入魂式に思う・・・・

どもぉー、だん馬鹿です!

前回の『だんじり通信』では、去る6月23日(日)におこなわれた堺市鳳地区 新在家の修理完成入魂式の模様をお伝えしました。

町内から神事のおこなわれる大鳥大社への曳行。
氏神様の美波比神社での神事を終え、大鳥大社から帰町。
そして、町内での御披露目曳行。
隣の野代の町内では、往復計2回の「やりまわし」を見事に決め、これで御披露目曳行も終了かと思いきや、Uターンで再び先ほどの交差点へと逆戻りして、三度「やりまわし」。
あわや電柱に衝突かと思いきや、スレスレで無事回避・・・・。

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しかし幸運だったのも、ここまで・・・・。

前回のおさらいはこれくらいにして、ここからが今日の『だん通』の本題・・・・。

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復路、この交差点での4度目の「やりまわし」も3度目と同様に大きく膨らみ、あわや電柱から張られたワイヤーロープの直前で急停止。

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事なきを得、一同ホッと一息つくも、青年団・後テコの者たちの顔からは苦笑いが・・・・。

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後に下がり、向きを変え、このまま町内に帰れば、これで入魂式も無事終了となったのですが、どこからともなく、「下げれ、下げれ、やり直し、やり直し・・・」の声。

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その声に促されるかのように、地車を後ろへ下げ、先来た道へとあと戻り・・・・。

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何事もなかったかのように、仕切りなおして、5度目の「やりまわし」。

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私が初めて曳き綱を握って以来、今日までの四十数年間の経験上、このような場合、後へ下げて「やりまわし」をやり直おした際のアクシデント発生率は非常に高く、「何もなければ良いのになぁー」と思っていた矢先、先ほどと同じく大きく膨れ、電柱のワイヤーロープに接触。

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地車は、止まることなく、ロープの上に乗り上げるように、ウイリー状態。

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屋根にかけられていた雨合羽は破れ、錺金物はへしゃげた状態で垂れ下がり、おそらく屋根の破風や肩背棒(担い棒)にはワイヤーロープの跡がくっきり残っていたのかも知れません・・・・。

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せっかくの修理完成、晴れの入魂式も台無しと言えば台無し・・・・。
またまた、工務店のお世話にならなければならないのは、必定。

入魂式でのこのようなアクシデントは、さほど珍しいことではないのですが、新在家の場合は、私の目からすれば、いささか状況がよろしくなかったのです・・・・。

新在家の町内をスタートし、この日の曳行を終了するまで、曳き綱を持つ青年団の横には、他町の青年団がハッピを身にまとい、さながら「追い役」のように並走し、団扇片手に煽り立てていました。

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中には、綱を持つ他町の青年団の姿もチラホラ。

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野代町内での「やりまわし」の際も同様に、多くの他町の青年団が綱を持ったり、煽り立てたり・・・・。
一人、二人ならまだしも、その数が10人、15人ともなれば、地車の速度も変わり、後テコを取る者たちとて加減が違ってきます。

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新在家の青年団、また他町の青年団からすれば、修理完成・入魂式のお祝いであり、祭礼時にはおこなうことのできない青年団同士の交流・親睦の場なのかも知れません。
しかし、他町の者から囃したてられることで余計に力が入ってしまうこと、曳き手が増えることで地車の操作性が変わってしまうことを踏まえて、曳行にたずさわっていた人がこの日どれだけいたでしょうか。

「下げれ、下げれ、やり直し、やり直し・・・」の声が、他町の青年団の者から発せられたことを、わかっていた人がいたのでしょうか?

本当なら、「よそのもんが何言うてるんじゃ!」と、喧嘩沙汰になっても不思議ではない状況。
なのに、誰一人文句のひとつも言わず、その声に促されるかのように、地車を下げてしまった新在家の者たち。
綱を持つ他町の青年団に、何も言うことなく勝手気ままさせてしまった、各種団体役員の人たち・・・・。

往古から、祭りは、村と村、町と町の意地の張り合う場であり、威勢の良さを競う場。
私が青年団に入ったころには、何かにつけ「よそに負けるな!」と上の者たちから言われたものです。
他町との間で揉め事でもあれば、いつも臨戦態勢が当たり前。

まして、よその地車を曳くことなどはもってのほか・・・・。
「ちょっと手貸して・・・・」なんてことは、恥以外の何ものでもなかったのです。

今日では、連合組織の中で、祭礼の運営、安全対策や諸問題解決がおこなわれるのが常。
「親睦を深め、協力体制で臨みましょう」が、一般的な祭礼への取り組み方。
しかし、なれあいになってしまえば、この日のようなアクシデントを助長することになる危険性も・・・・。

何事もなければ、「あぁーご苦労さん。助かったわ、ありがとう!」なのかも知れませんが、事が起こってしまえば・・・・。

この日のような光景は、鳳地区のみならず、多かれ少なかれ、あちらこちらでよく見かけます。
だんじり馬鹿のうるさいオッサンからすれば、「今の若い衆は、わかってないなー」どころか、「ええオッサンらも、何やらしてんねん」・・・・。

「やって良いこと、悪いこと」、「させて良いこと、悪いこと」、一度原点に立ち戻り、『祭りとは何ぞや!?』を、考え直す時期に来ているのかも知れませんねぇー。

ちょっと小言が過ぎたかも知れませんが、今日の『だん通』はこのへんでオシマイ。
ほな、失礼します・・・・(ペコっ)。








信濃屋お半だんじり通信
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