茶屋のだんぢり漫遊録

目次

河南町寺田の修理完成入魂式・・・・

どもぉー、だん馬鹿です!

梅雨明けとともに、連日のうだるような暑さ。太陽
仕事場のラジオから流れる天気予報では、全国各地から35度を越える最高気温が報じられています。

いよいよ、今日7月11日から、大阪に本格的な夏の訪れを告げる大阪市平野区 杭全神社の夏祭りがスタート。

今日11日は、太鼓台と神輿の「足洗い神事」。
明日・あさっては、平野郷九町の地車の曳行。
そして14日は、太鼓台の巡行と神輿の渡御がおこなわれます。

我々、地車ファンにとっては、13日夕刻からおこなわれる杭全神社への宮入りが気になるところ。
例年、多くの見物人で足の踏み場もないような状況・・・・。

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見に行きたいのはやまやま、なかなか出かけることのできない方々へのために、当 地車総合サイト『だんじり』では、杭全神社 宮入りの模様を『地車撮って出し』のコーナーで即日配信!
午後11時頃まで掛かる宮入りが終了し次第、その熱気も冷めぬまま、ムービーの編集をおこない、翌朝までには配信の予定。

当面の敵は天候、雨が降らないことを祈るだけ・・・・。
編集スタッフにとっては、一刻を争う作業。いかが相成りますことやら・・・・。乞うご期待!!

さて、今日の『だんじり通信』は、去る6月30日におこなわれた南河内郡河南町 寺田の修理完成入魂式の模様をお届けします。

寺田の地車は、富田林市・河南町・千早赤坂村などで多く見られる『石川型』地車。
大きく前へ張り出した勾欄・縁葛部分を舞台代わりに、『にわか芝居』が演じるため、地元では「俄だんじり」と呼ばれています。

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製作年・製作大工・彫物師などの詳細はわかっていませんが、地車研究者の間では、江戸末期から明治の初期に富田林の大工集団《新堂組》の流れを汲む大工の手により製作されたもので、彫物は堺の《彫又》一門の手によるものと考えられています。

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製作から100年以上の歳月を経て、これまでに平成4年には岸和田市の《植山工務店》で大修理がおこなわれています。

今回の修理は、大阪市平野区 喜連の《河合工務店》河合伸一 匠の元で、本体の洗い・締め直し・錺金物の再メッキ、組み物などの新調入れ替えなどがおこなわれました。

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また、「獅噛み」三面、箱棟、「懸魚」三面、勾欄合の小板三面、「絵振り板」二面などが、富山県井波の野原湛水 師の手で、元の彫物を手本に忠実に再現されました。

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彫物の欠損部分は、富田林の《彫陽》山本陽介 師が、欠け接ぎをおこなっています。

修理を終えた地車は、去る6月9日(日)に、町内へ搬入され、準備万端。
当日は、見違えるように綺麗になった地車を一目見ようと、近郷近在はもとより、遠くは四国から(私の友人ですが・・・)も、たくさん詰め掛けていました。

私が現地に到着した午前9時40分には、既に寺田の地車は町内の地車小屋から式展会場となるJA大阪南 河南支店の駐車場までの移動を終え、神事が始まるのを今か今かと待っているところ。

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午前10時から、神様に修理の無事完成を奉告し、安全曳行を祈願し御祓いが厳かにおこなわれました。

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その後で記念撮影がおこなわれ、駐車場内での『練りまわし』がおこなわれるまでの間、思い思いのひと時を・・・・。

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12時少し前からは、いよいよお待ちかねの『練りまわし』が開始。

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鉦や太鼓の音高らかに、舞台の上で歌い上げられる『伊勢音頭』に合わせ、修理に御尽力された方々への感謝の気持ちを表すかのように、地車の後部を持ち上げお辞儀をさせ、地車を前へ後ろへ・・・・。

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そのあとは、右へ左への横しゃくり・・・・。

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時間にして、20分足らずの『練りまわし』でしたが、祭礼さながらの迫力に堪能・堪能・・・・。

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そのまま、JA大阪南 河南支店をあとに、地車小屋を目指し、帰路に就きました。

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さてさて、昨今の富田林・河南町をはじめとする南河内地域では、入魂式での鉦や太鼓の「鳴り物」、ハッピの着用は、私有地内ではOKなものの、地車が曳行される公道などでは全面禁止。

この日の寺田の入魂式も、農協の駐車場内はOKでも、行き帰りは、鳴り物もなければ、もちろん『曳き唄』もなし・・・・
これは、所轄監督官庁、早い話が警察からの指導・要請で、曳行許可条件として付け加えられているのだとか。

これまでの祭礼時には、朝方まで『曳き唄』を唄いながら曳行がおこなわれるほど、地車熱の盛んな南河内地域。
それも今日では、午後10時入庫。破れば、ペナルティー・・・・。

4・5年前から、突如として厳しくなったこの規制、地元民をはじめ、地車研究者や地車ファンなどからは、地域に根ずく祭礼文化を弾圧するかのような愚行との声も。
祭礼時の曳行時間はまだしも、何十年に一回の修理、その記念すべき晴れの日に水を差すような指導とあれば、地元住民の怒りも心頭・・・・。

近畿一円およそ900台以上の地車が曳行されている今日においても、この様な指導・規制を課しているのは、この地域だけ・・・・。

祭りに関心のない人たちや、寄せられる苦情に配慮しているのかも知れませんが、地車ファンの一人、地車にたずさわる者の一人としても、地域が一体となり、この問題を解決して欲しいものです。

祭りに関心のない人も、正月になれば神社への『初詣』には行くのが世の常・・・・。
自己の損得勘定だけでは、その地域で暮らしていけないことも、往古の村社会にはあったんですけどねぇ~。

ほな、今日の『だんじり通信』はこのへんでオシマイ。
寺田の皆さん、おめでとうございました!

では、失礼します・・・・(ペコっ)。
信濃屋お半だんじり通信
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