茶屋のだんぢり漫遊録

目次

彫物師さんたちとともに、東家の天保だんじり見学会・・・・

どもぉー、だん馬鹿です!

桜のつぼみがほころび始めた今年3月24日の日曜日、岸和田で活躍する彫物師さん達から、「勉強のためにも、開さんの地車見たいなぁー」とのリクエストを受けて、和歌山県橋本市 市脇の新旧2台の地車の見学会をおこないました。

131205-1総勢17名の彫り物師さんと極めて親しい友人知人を交え、総勢30人での見学会。
その模様は、3月26日のもう一つの「だん通」、『だんじり通信 eo Special Edition』で取り上げました。

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久しぶりに見た市脇の地車、特に現在曳行されている『岸和田型』地車は、貝塚市半田から譲り受けた際の入魂式以来の金網なしの状態でのご対面でした。

その見学会を終え、その日参加してくれた《木下彫刻工芸》木下健司 師と《賢申堂》河合申仁 師の両名と、「また一緒に見に行きましょ!」と帰りがけに談笑すれば、口をそろえるかのように「今度は東家見たいんやけど・・・・」との言葉。

市脇・東家の見学会は、親交のある町内の友人に無理を言い、これまでにも数度おこなってもらったのですが、日頃からお世話になっている両名からのリクエストとあらば、段取りせねばなるまいと、善は急げ、帰り道に東家の重鎮であるM氏・Y氏の元を訪問し、その旨を打診・・・・。
「ふぅーん、そういうことなら、いつでもどうぞ」と快諾を頂き、あとは日程を決めるだけ。

しかし、毎週末のように各地の入魂式・祭礼の撮影や取材で飛び回っている私自身のスケジュール調整もあり、だんじり祭シーズンが一段落する11月以降におこなうことに。
そして、今年のだんじり祭シーズンが幕を下ろし、山々の木々が色づき始めた去る11月17日(日)東家の地車を見るべく橋本を訪れてきました。

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東家の地車は、天保11年(1840)に、岸和田市中町が新調
大正11年に新調された現 中町地車の先代にあたり、同年に貝塚市清児へ。
その後、和泉市今在家(現在の芦部)にて曳行されたのち、昭和34年に東家が購入

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この日、一緒に訪れた河合申仁 師にとっては自町の先代地車なのです。

東家購入時に、担い棒(肩背棒)が取り付けられてはいますが、大きな修理改修もおこなわれておらず、地車の様式、手の込んだ彫刻などは新調当時のまま。

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現役最古の『岸和田型』地車として知られ、大屋根を上下させる『からくり』の遺構や、岸和田藩の許可承認印と言われる『岸極(きしきわめ)』の焼き印などが残こり、往古の『岸和田型』地車を知る上での貴重な一級資料として、地車研究者や地車ファンの間でも注目されている地車です。

製作大工は不詳ながら、彫物は大坂の花岡源助をはじめとする《花岡》一門の彫物師によるもの。

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地車の内部、彫物の面には製作年・彫物師を示す墨書きも今なお残っています。

見学会は午前10時からの予定でしたが、町内の方々の手で金網が外され、午前9時過ぎには早くも地車小屋の外に・・・・。

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この日参加されたのは、昨年の市脇見学会の一週間後に設立された『岸和田木彫会』に参加する、木下健司・河合伸仁 両親方をはじめ、両師のお弟子さん、《木彫片山》・《木彫前田工房》のお弟子さんなど総勢8名。
残念ながら片山 晃・前田暁彦の両親方は所用のために不参加。

両親方をはじめ、お弟子さんたちも、初めて目にする東家の天保だんじりの繊細な細工に驚かれた様子で、隅々まで食い入るように・・・・。
いつもなら、その真剣なまなざしをブログ用にとカメラに収めるのですが、そんなことはさておき、今回は私もカメラ片手に汗だくになりながら彫物を撮影。

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これまでの東家の見学会は市脇先代地車と一緒におこなうことが多く、お世話頂いている町の方々への挨拶や段取りで、自分自身素晴らしい彫物を写真に撮ることも叶わず、写真に収めたのはフイルムカメラで撮った十数年前の一度きり・・・・。
この地車をデジカメで撮影するのは、私自身今回が初めて・・・・。

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「おっ、今日は写真撮ってるやん!」と東家の兄貴分Y氏も驚かれた様子・・・・(笑)。

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簡素ながら、繊細で、表情豊かな人物の彫物などを写真に収めながら、彫師さんたちと彫物談義。

私のような素人とは違ったプロ目線で、これまで多くの彫刻や地車の細工を目にしている両親方も、江戸時代の匠の技に驚かれた様子。

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今では見ることのできない繊細な彫刻、手の込んだ細工の数々は、「今後の彫物製作の役にも立ちます」と、両親方もいささかニンマリ・・・・。

最後は、東家のだんじりの前で町の方々とともに記念撮影・・・・(カメラマンは私)。

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地車を小屋に収めた後は、お世話していただいたM氏・Y氏ら町の方々とともに軽い昼食をとりながら懇親会。
ここでもまた、彫物談義は尽きることなく、時を忘れ、ひと時を過ごさせていただきました。

彫物師さんたちと行く、地車見学会。
また機会があれば、お供させていただきたいものだと思いながら、今日の『だん通』はこのへんで・・・・。

次は、どこへ行こうかな?
ほなまた・・・・(ペコっ)。











信濃屋お半だんじり通信
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