奄美で被災のだんじりを救え! ~フォーラム開催!~
前回、このブログでお知らせした通り、現在大東市の歴史民俗資料館にて開催されている
『だんじりの彫物
小松源助から探る』
の続報です。

先日、2月11日(水祝)に、同館にてこのだんじりの被災からの救出ならびに展示までの事業を報告するフォーラムが開催されましたので、ワタクシも参加してきました。

今回は、その模様をお届けします。
これは、文化庁の助成を受けて行われている『地域と協働した美術館•歴史博物館創造活動支援事業』の一環で、『だんじりを活かした地域協働事業実行委員会』が主催となって行われました。
前回のブログでお伝えした通り、展示会の初日となる2月7日(土)にワタクシ現地に赴きまして、その被災しただんじりの彫物を目の当たりにしてきました。

その時に、パネル化された展示物に事の経緯が記録されてあって、それを見れば、この日のフォーラムの内容というのがある程度見えました。
『あ、こういう内容の事を、実際に携わった人達が発表しはるんやろなぁ・・・』
…ていう感じでね。
なので、ワタクシとしては予習は万全といったところ。
とゆー訳で、フォーラム当日の内容をザックリとリポートします。
なお、当日の写真撮影はNGということで、現場の写真はありません。
なので、だんじりの彫物写真を挟んでゆきます。

まず第1部は、各自の報告から。
① 原野農芸博物館のだんじり
原野農芸博物館学芸員、原野幸治氏
ここは前回のブログでご紹介した内容のおさらい。
明治19年に東大阪の枚岡で新調されただんじり、大きすぎるが故に曳かれず、農芸博物館所蔵となり、奄美で被災するまでの経緯報告。

② 被災しただんじりの資料化まで
京都造形芸術大学教授、伊達仁美氏
この方は文化財修復のエキスパート。
被災した展示品を一つ一つ回収する過程で、土砂に埋もれただんじりは大きすぎるが故に後回しに。
だんじり救出は無理かと思っていたら、学生たちからだんじり救出の声が上がり、回収へ。
部材ごとに番号をつけ、一つ一つをクリーニングした。

③ 市民と協働しただんじりの調査
大東市立歴史民俗資料館副館長、武井二葉氏
大東市は市民学芸員が多数活動しており、大東市内の各だんじりを調査中。
その市民学芸員と大学のボランティアとが協力し合って、彫物の調査に取り組んだ。

④ 彫物調査の方法とその成果
大東市立歴史民俗資料館学芸員、溝辺悠介氏
このだんじりの彫物と、同じ小松源助の作とされる大東市北条中之町のだんじりの彫物とを比較。
トレース化して重ね合わせることで共通点や類似点を発見。

⑤ 『だんじりの彫物 〜小松源助から探る〜』とは?
京都造形芸術大学副学長、大野木啓人氏
このだんじりが被災したことで、このだんじりの彫物と出会う事ができた。
その芸術性の高さに驚愕。
一人の優秀な学芸員が成し得るもよではなく、専門家でもない人達がみんなで取り組んだことに意義がある。

まぁザッと大まかに以上のような報告がなされた後、休憩を挟んで第2部は、それらの人達がパネラーとなって横一列に並び、意見交換。
その中で語られたことは、まだこのだんじりの復興事業は途中経過であり、まだすべての彫物を展示できるまでになった訳ではない。
ゆくゆくはこのだんじりを元通りに組み立てて展示できるようになるまで、頑張りたいとの事でした。

約3時間に及ぶフォーラムを拝聴して思った事・・・
深いことはさて置き・・・
何よりもスゴイと思ったのは、この被災しただんじりを、どうにか救えないかと奮闘して下さった学生さん達の熱意と、それを支えた周りの皆さんのチームワークだと思いました。
それまでだんじりに触れる機会の無かった市民学芸員の方々や、京都造形芸術大学の皆さん達が、このだんじりの彫物と向き合う事で、少なからずだんじりに対する興味と造詣を持って下さったたことは、一だんじり好きとしてとても嬉しく思います。

ちょっとワタクシ、上からモノ言うてる感じですけど、普段なかなか多くの人に、だんじりの魅力ってあんまり分かってもらえないことも多々あるんですわ・・・
なので、こうした普段だんじりと関わることのなかった方々が、こういうきっかけでだんじりと向き合い、こんな地道な活動をされてこられた事に対しては、心からの敬意を表したいと思うのです。

そしてこのだんじりの調査を通じてだんじりの魅力にハマった人達は、引き続きだんじりに関する調査に意欲を燃やしていました。
そうやって、だんじりが繋ぐ人間関係や、だんじりを好きになる輪が広がって行く事は、とても嬉しい事だと思います。

ひとまずこの、原野農芸博物館所蔵の被災だんじりについては、今回で一旦締めます。
でもこの先まだまだ続いて行く事だと思うので、また思いついたらこのだんじりに関して書き綴りたいと思います。
この展示会は今月いっぱい同所にて開催されていますので、是非一度、足を運んでその彫物と対面してみてはいかがですか?
この事業に関わる皆さんの努力が実を結び、再びこのだんじりが在りし日の姿を取り戻せる日が来ることを心から願います。

今回はここまで。
<<前の記事 | 次の記事>> |