菜種梅雨の晴れ間に…岡本だんじり入魂式…①
各地の桜が満開を迎えたと同時に、しばらく雨の予報が続きました。
お天気予報ではこん時期に長雨が続くことを『菜種梅雨』と言いますが、4月第1週目の土日はまさにそんな予報。
せっかく咲き揃った桜が一気に散ってしまうと思われた4月4日の土曜日・・・

なんと当初の予報に反して、爽やかに晴れ渡った空のもと、神戸市東灘区・岡本のだんじりの入魂式、及びお披露目曳行が行われました。

ひとまず朝9時前に現地に到着。
甲南大学のすぐ東側に、だんじり小屋と会館(岡本公会堂という立派なネーミング!)があり、入魂式、および式典はここで行われます。
見物人もほとんどおらず、『だんじりメディア関連』の方々が数名。
この時間を利用して、大修理の完成しただんじりをじっくりと鑑賞していきましょう!

当サイトの『各町のだんじり』を参照すると、このだんじりは明治の終わり頃に製作されたとされ、当時の大工、彫師は不詳となっています。

元々は『大阪型』で、それを岡本が購入したのを機に、住吉の《大佐》十三代目・川崎佐太郎により、神戸型に改修された模様。

その時の彫師が《西だんぢりや》下川安次郎と、赤胴由松となっています。
土呂幕が神戸式の組み方になっているので、土呂幕の彫物はその時に彫り替えられたものでしょうかね?

懸魚が元々のものか、彫り替えられたものかは定かではないですが・・・

特に小屋根の拝懸魚を見ると、『小松』?・・・に見えて仕方がないので、明治末期と考えるなら、この懸魚は製作当時のものと考えるのが自然かな?
ワタクシまだ18歳当時、買ったばかりの大きな肩載せのビデオカメラを担いで見に行った『神戸まつり』。
そこで初めて出会った岡本のだんじりの、この正面車板『天の岩戸』!

かねてよりニス塗りが施されていてテカテカしていたのですが、今回の大修理にて洗いがかけられ、本来の木の色に戻されました。

申し遅れましたが、今回の大修理は平野区の《大市》河合工務店にて行われ、屋形はほぼそっくり新調された感じ。
彫物も一部彫り替えられていて、こちら獅噛みは、野原湛水 師の作品。

また柱、虹梁、垂木、勾欄合など、随所に良質の黒檀が贅沢に使用され、その木鼻は《彫陽》山本陽介 師の作品。

硬い材質を彫り刻むため、苦心の跡が伺えます。
土呂幕の前後も野原湛水 師の作品。
これは後ろの土呂幕で、観音開きになっているのですが、図柄は『鯉太郎(のちの武蔵坊弁慶)の鯉退治』になります。


いかがですか?
なかなか見応えあるだんじりです。
屋根廻りを製作当時の彫物とするなら、一台のだんじりに明治・大正、そして平成と、三つの時代の彫物が同居しているだんじりとなります。

さてさて、だんじり本体をじっくり拝ませてもらったところで、長くなりました。
式典~お披露目曳行の模様は、次回に回しましょう!

今回はここまで。
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