未来への夢の材料…生之町、新調だんじり原木祭

梅雨入り前のお話・・・
こちらのブログでも5月31日(日)に行われた各『だんじり行事』の話題はお伝えしてきましたが、今回はその『大トリ』になります。
この日はだんじりの改修や購入に伴う入魂式が3件行われましたが、最後にお伝えするだんじり行事は、入魂式ではなく・・・
『原木祭』!

泉北郡忠岡町は、生之町の新調だんじりの『原木祭』が行われましたので、その模様をお伝えします。

まずは、町内に運び込まれたその原木をご覧下さい!

ここは生之町の町内の、ほぼ中央に位置する場所で、現在のだんじり小屋から少し南へ行ったあたり。
午前9時からの神事に向けて、早朝より準備が行われました。
数日前までお天気が心配されていたこの日、前日になって予報が晴れに変わりました。
この日の快晴は、まさにこの『原木祭』のためだったのではないと思うぐらい、青空と原木が見事に調和しています。

ご覧になって分かるかと思いますが、ここ、道路なんですよ…!
現在の生之町のだんじりは、大正4年に岸和田の本町が新調したもので、大工は名門《絹屋》絹井楠次郎、彫師は玉井行陽に、忠岡の名匠・櫻井義國が加わり製作された、本町の先代だんじり。

正面枡合の『大正天皇即位大礼の図』は、玉井行陽師の作品で他に例を見ない作品として知られています。

昭和2年に生之町が購入し、以来約90年にわたり、生之町のだんじりとして活躍し続けてきた名地車。

忠岡には現在4台のだんじりがありますが、昭和61年に濱之町がだんじりを新調したのを皮切りに、平成3年には仲之町が、平成25年には道之町が新調を終え、今回、生之町は満を持しての新調決定となりました。
では、『原木祭』の現場にカメラを戻しましょう!

こちらの原木は茨城県産で、樹齢は約300年。
長さ15メートル、末口直径も1.2メートルあり、重さはなんと16トンだそうです。
堂々たる原木が、町内の道路に据え置かれるだけで、その圧倒的な存在感というか、神々しい雰囲気というか、それはもう現場に居合わせた者しか感じ取れないもので、集まった町内の皆さんや子供たちも、目を真ん丸にして原木に見入っています。

今回だんじりの新調は、昭和の頃よりずっと生之町のだんじりの修復を手がけてきた岸和田の《植山工務店》があたり、彫師は《木彫 高濱》高濱輝夫 師。
午前9時、町内祭礼関係者、製作にあたる工匠さん列席のもと、生之町新調だんじり原木祭が、厳かな空気の中、始まりました。

諸々の神事の手順を踏んだのち、原木の清祓いが行われます。

そして、『原木祭』で一番大切な儀式と言えるのが、『手斧始めの儀』と『彫刻始めの儀』でしょう。
まずは製作にあたる《植山工務店》佐野和久棟梁が、この原木に初めて手斧を入れます。

続いて《木彫 高濱》高濱輝夫 師がノミを入れます。

この儀式をもって、この原木は生之町のだんじりへと生まれ変わる、その第一歩を刻み込まれたこととなります。
特に、本町の先代だんじりが嫁いだ先である生之町の新調だんじりを、本町出身の彫師・高濱輝夫 師が手掛けるのは、まさに巡り合わせ。

6年後の完成予定に向けて、夢が膨らみます!
この原木はこれから製材を経て、最低2年間は自然乾燥され、いざだんじりへと姿を変えるその時が来るまで眠りに就きます。
生之町の未来へ向けた『夢の材料』は、しばしの熟成期間を迎えるのです。

生之町の皆さん、ブログでは少し日にちが経過しましたが、この度は新調だんじり原木祭、誠におめでとうございます。
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