茶屋のだんぢり漫遊録

目次

この夏一番のトピック・メイキング…《前編》


えーと、まず最初に前回のブログの修正箇所があります~!

『吹田まつり』ですが、7月26日(日)ではなく、8月2日(日)の間違いでした。
謹んで訂正申し上げます・・・







さて本題!






だんじりの世界で日々ささやかれているもの、だんじりの世界で常に話題となって飛び交うもの・・・


それは多岐多様にわたります。


誉れ高い『名地車』にまつわるエピソードから、取るに足らないウワサ話まで、このだんじりの世界は様々な話題が飛び交っています。


そんな中で・・・


製作年代が同じとか、大工や彫師が同じとか、お互い『双璧』と呼ばれるとかで、似通っただんじりを比べて、どっちが良いだんじりか?…なんていう話題は、『だんじり愛好家』や『だんじりブロガー』の人たちの間では、たびたび話題に上るものであります。


例を挙げるなら、熊取町の大宮と、泉佐野市の長滝西の番など、そんな話題の代表格と言えるのではないですか?






だいたい、そういう『比べてどうこう』という話題にのぼる2台のだんじりに対しては、『実際に並べて見比べたい』という夢のような願望が飛び交うものです。



実はこの夏・・・



数多くのだんじり愛好家やだんじりブロガーにとっての、そんな『夢のような願望』が、ひとつ実現しました!


それは、現在生野区は生野神社のだんじりとなった、堺市は鳳地区の野田の先代だんじりと、東大阪市の北蛇草のだんじり。





この2台のだんじりも、似通った名地車としての誉れ高く、『いっぺん並べて見比べたい』というのは、多くのだんじり愛好家の望むところだったのではないでしょうか?



7月12日(日)


生野神社のだんじり入魂式の日において、それは実現しました。






鳳地区の野田の先代だんじりは、野田が現だんじりを新調したのちも、売却先がなかなか決まらず、しばらく町内のとある場所に保管されていました。



野田の人達にとっても、長年の祭を共にした愛着あるだんじりということで、売るなら大事にしてくれるところに売りたい、もし売れないならそれでも良い・・・とさえ言い出す人もおられたとか。


そんな野田の先代だんじりを、生野神社の『地車講』が購入したことは、それだけで話題になりました。


そこへ、入魂式の日に北蛇草のだんじりが、東大阪からわざわざ運んできて横に並べる!・・・


そんな『怪情報』が飛び交ったことで、多くのだんじり愛好家の間は、かなりざわついたと思われます。



では、この生野神社のだんじりとなった鳳地区・野田の先代だんじりと、北蛇草のだんじりとの関係性を整理しておきましょう。




◎ 生野神社『地車講』だんじり

昭和7年 堺市・野田が新調
大工:植山宗一郎
彫師:吉岡義峰・木下舜次郎




野田の現だんじり新調に伴い、しばらく町内にて保管されていたものを、生野神社『地車講』が購入。




◎ 北蛇草だんじり

昭和10年 新調
大工:植山義正
彫師:木下舜次郎・玉井行陽・川島暁星




昭和7年に製作された野田のだんじりを手本に、弟である義正が製作。



彫物は野田と同じ下絵を使い、野田の製作時に吉岡義峰の助として参加した木下舜次郎が責任者となり作事。



以上の様ないきさつから、この2台のだんじりは非常によく似た作品となり、特に彫物は図柄がほぼ同じく、また見送り三枚板については、吉岡義峰と木下舜次郎の腕くらべ・・・などと称されるほど甲乙つけがたく、だんじり愛好家の間では常に話題にのぼる作品です。







生野神社のだんじりとなった鳳は野田の先代だんじりは、『昭和の名だんじり』という触れ込みでは、『上地車』部門で必ず名前が挙がる名だんじり。



このだんじり製作当時、岸和田の名門大工《絹屋》の絹井楠次郎が、現在の福島区は野田恵美須のだんじりを作事しており、当時まだ若手であった《大宗》植山宗一郎が、《絹屋》に負けてなるものか!と、かなり意識して製作したと思われます。



この時に一枚物の土呂幕を考案するなど、かなり苦心の跡があり、当時の植山宗一郎の、並々ならぬ意地を見せつけています。



彫師の吉岡義峰がその意気に答え、当時の若手・木下舜次郎を助に、『上地車』としてはこれ以上ないとされる程の作品を彫り刻みます。



こうして出来上がっただんじりは、のちに植山の『上地車』の看板だんじりの名を欲しいままにします。


その野田の先代だんじりを手本に、弟・義正も負けじと製作したのが北蛇草のだんじり


彫師・木下舜次郎は、憧れの吉岡義峰のもとで学んだものを生かし、同じ図柄で独自のものを生み出そうと試みたのでしょう。


なお、北蛇草としては『新調』ではなく、当時の植山が製作していただんじりを完成させて購入した『仕入れだんじり』となります。


だんじり愛好家のみならず、この北蛇草の人達にとっても、『一度は野田のだんじりと並べてみたい!』という願望は古くから持っておられ、今回こうして生野神社『地車講』がこのだんじりを購入した事で、かねてよりの『夢』が実現した事になります。



さて次回は!・・・



いよいよ世紀のご対面!



生野神社のだんじりと北蛇草のだんじりの、夢の横並びから、近隣から3台のだんじりも駆けつけて豪華なお披露目曳行となった、7月12日(日)当日の模様をお届けします!


お楽しみに!

では今回はここまで~!

信濃屋お半悠遊!だんじり録
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