昭和の終わりのだんじりが、堂々のリニューアル!
『岸和田だんじり祭』が大盛況の内に幕を閉じ、その余韻も冷めやらぬ9月22日(火祝)・・・
河内長野市・長野地区の下西代のだんじりが大改修を終え、入魂式ならびにお披露目曳行が行われました。

世間では『シルバーウィーク』と呼ばれるイレギュラーな大型連休の真っ最中。
気候はすっかり秋が定着して、気持ちの良い秋晴れが続いていました。
そんな秋空のもとお披露目されただんじりは・・・

昭和61年に、高石市は南(三区)が新調したもので、製作大工は《池内工務店》池内福次郎、彫師は木下賢治が責任者となり、中山慶春、十場裕次郎といった面々が刻んでいます。

平成4年、高石市の南が現在のだんじりを購入するのに伴い、ここ下西代へとやって来ました。
修復にあたった大工は《泉谷工務店》泉谷浩文 棟梁、彫師は《木彫 前田工房》前田暁彦 師。

記憶に新しいのは昨年5月、堺市は鳳地区、長承寺の新調だんじりを完成させた顔合わせです。
では、町内にて入魂式の行われた下西代のだんじりを、一部ですがじっくり見てみましょう!
今回の修復は、特に獅噛みを除いて屋根廻りをそっくり新調という、まさに大改修。

その結果、姿見は大きく変貌を遂げ、屋根の下には枡組。
そして枡合と虹梁、そして木鼻には前田暁彦 師の手による彫物が組み込まれています。
大屋根正面の懸魚には『天の岩戸』。

左右の隣懸魚も含めて、構図とバランスを熟慮した傑作と言えるでしょう。

懸魚の奥で屋根の懐を支える車板には『醍醐の花見』。

正面枡合には『船弁慶』が。

その下の虹梁には『難波戦記』より、真田幸村の勇姿が収められています。

全体の配置として、大屋根枡合は『源平合戦』、虹梁は『難波戦記』から題材を選んでいます。

小屋根に目を移せば、左の枡合にはお馴染み『神武東征』。

さらに木鼻の唐獅子は、それぞれ何かを手に持っており、こちらは米俵をもつ唐獅子。

こちらの唐獅子は打出の小槌を持っています。

さて、腰廻りは昭和に製作されたままの彫物が残されており、見送りは昭和の終わり頃の『上地車』に盛んに取り入れられた『下地車式』の見送りで、題材は『大坂夏の陣』ですね。

こちらは土呂幕、『牡丹に唐獅子』。

町内にて入魂式が行われた後、お披露目曳行へと出発しただんじり。

だんじりの前には今回の改修彫師・前田暁彦 師が乗り込み、見に来られたたくさんの方から声をかけられていました。

氏神である西代神社の横では、西代のだんじりが小屋から出してお出迎え。

にわかに河内長野の祭りの雰囲気が盛り上がります。


お昼前には市民文化会館『ラブリーホール』の横に据え置かれ、ホール内で記念式典へと移行しました。
ワタクシ達は午後からの取材先へ移動のため、これにて退散。

こうして9月の岸和田が終わると、泉州から河内地方の各地は『秋祭シーズン』が本格化し始めます。
まだまだこれから秋祭に向けて、修復を終えただんじりの晴れ姿が見られる事でしょう。

下西代の皆さん、この度はだんじり改修ならびに入魂式お披露目、誠におめでとうございます。
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