茶屋のだんぢり漫遊録

目次

『無事是名馬』は最高の賛辞!…桑原町だんじり現役を去る 《後編》

 



前回から引き続き、和泉市は郷荘地区 桑原町のだんじりについて書き綴ってまいります!




前回はこの だんじり本体をじっくり拝見させて頂く機会を得て、新調当時から現在に残る彫物などを鑑賞させて頂きました。



さて今回は・・・!



11月3日(火祝)


いよいよこのだんじり最後の晴れ舞台、お別れ曳行及び昇魂式の模様をお届けします。


まだ夜も明けきらぬ午前6時。



空が美しい朝焼けを迎える頃、桑原町のだんじりは最後の曳行へと出発しました。

まずは郷荘地区の周回コースを廻りますよ!



だんじりの前に付けられた交差旗は、左に日の丸、右には青年団の団旗のようです。

かつては『和泉だんじり大連合パレード』のメイン交差点であった、桑原町地元の通称『しょうちゃん』の交差点を、1発目の遣り廻し!



曳き手も気合い十分!

かなりのスピードと鮮やかなキレで、見事に最初の遣り廻しを決めました。





続いて、現在『郷荘地区』のメインとなっている交差点。



祭礼土曜日の午後、パレードのセレモニーが行われる通称『cut-A』の交差点

ここも見事な遣り廻しで通過!




祭礼本番を思わせる豪快な遣り廻しで、詰めかけた見物客を魅了します。




続いては『難所』とされる、『日石前』交差点。




昔から桑原町は、郷荘地区の中でも遣り廻しは安定した実力があるとされ、こうした『難所』と言われる狭い交差点も、ほとんど無事故で遣り廻しを決めてきました。



最後となるこの日も、難所を難なくクリアして、寺門町の町内を抜けて行きます。




こうして最後の周回コースを無事に走り終えただんじりは、これより昇魂式に向けて、氏神・郷荘神社へと向かいます。


また沿道では近隣各町が惜別のお出迎え。



↑この写真は観音寺町でのお別れセレモニー。


神社の手前で、阪本町とも顔合わせを終えただんじりは、いよいよ郷荘神社への登り口へと近づいてきました。




ここ郷荘神社の宮入りは、祭礼でも一発勝負の見せ場です。

神社前の道路から遣り廻しで入ると、正面にそびえる大木を交わしながら、急坂を曳き上げねばなりません。


この宮入りの遣り廻しが、このだんじりにとって、桑原町での最後の遣り廻しとなります!




曳き手もみな、万感の思いで気合いを込め、最後の最後、一発勝負の遣り廻し!





見事ドンピシャに決めて、急坂を駆け上がって行きます。




湧き上がる拍手と歓声に包まれながら、神社境内へと曳き入れられただんじりは、さっきまでの勇壮さからは一転、まことに厳かな空気に包まれ、昇魂式を迎えました。




纏はご存知、『くわばらくわばら』の西福寺にちなんだ雷神さまです。



だんじり新調後もこの纏は使い続けるんかな?



無事に昇魂式を終えただんじりは、もう遣り廻しをせずに町内へ。



後ろ旗の中央には、

『無事是名馬也』

の文字が。





そうなんです。


桑原町のだんじりは、スピード化が進んだ昭和の終わりから平成にかけての時代、大きな事故なく、毎年の祭を終えていたんです。

特に転倒事故は、ワタクシの記憶にもありません。




それ故の、『無事是名馬也』でありましょう。

勇壮さを競い合い、遣り廻しの技術と速さを見せつける祭礼にあって、事故や怪我なく祭を終えることは各町どこもが必須命題に掲げています。

しかしそれを毎年積み重ねてゆくことは、並大抵ではありません。


そういう意味でも、桑原町の『無事是名馬也』は、このだんじりに贈るこの上ない賞賛の言葉であると思います。



一時期曳かれない時代もありましたが、おそらく一世紀近くにわたり桑原町で活躍しただんじりに、今一度
『お疲れさま、ありがとう』
の言葉を贈りたいと思います。



さて、来年完成予定の新調だんじりは現在、岸和田の《植山工務店》にて製作中!


彫師は《木彫 高濱》高濱輝夫 師の、満を持しての出世だんじりとなりますよ!


来年完成する新調だんじりにも、期待が高まりますね!


では今回はここまで~!

信濃屋お半悠遊!だんじり録
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