ここにもある!橿原市の『板勾欄住吉型』だんじり
ゴールデンウィークに突入しまして、昨日は『布施地車パレード』 が盛大に行われました。

明日からはもう5月。
いよいよ神戸では各地区、各神社にて祭礼が始まります。
『だんじり祭礼』としては、毎年この5月の神戸が開幕になります。
今年もあちこちお出かけ下さい。
ではブログの方は、まだまだ書き足りない、奈良県は橿原市、十市町のだんじりについて。
今回スポットを当てて見ていくのはこちら!

十市町、上ケ田南垣内のだんじり。
4月16日(土)
翌日に行われる『神武祭』のための搬入を拝見しようと、ワタクシが橿原神宮の北鳥居前に到着した時には、すでに搬入されていただんじり。

明治21年に住吉のだんじり大工《大佐》11代目・川崎仙之助により製作されたもので・・・

姿見からもお分かり頂けると思いますが、『出人形板勾欄式の住吉型』と呼ばれる形式のだんじりで、彫師は堺の名門《彫又》一門となっています。

江戸末期から明治期にかけて、だんじり製作において一時代を築き上げた住吉の《大佐》では、様々な形状のだんじりを数多く世に送り出しています。

特に、当時の大阪の中心部などに存在していただんじりは、往々にして簡素なだんじりが多かったと思われるのですが、《大佐》一門はそうした流れを、より見栄えの良いだんじり、彫物の多いだんじりへと変えていった経緯がある様です。

そうした中で生み出された形式の一つに、『板勾欄』という、勾欄部分が彫物になった形式もあるのではないでしょうか?
『板勾欄』の中でも、この日この後に搬入されてくる市場東垣内のだんじりを見ると、本当に『板に彫物を施した勾欄』という感じのもので、これが『板勾欄』の原型のような気がします。

ただ、この市場東垣内のだんじりは《大佐》の製作ではなく、《堺のだんじり大工》によるのなので、最初に『板勾欄』を考案したのが《大佐》なのかどうかは、まだ判断の至るところではありません。

さてこの、上ケ田南垣内のだんじりですが、こちらは『板勾欄』の中でもさらに進化したもので、彫物が一枚の板ものではなく、独立した人物や馬乗りなどが配置される『出人形式』と呼ばれるもの。

このだんじりの場合は、柱巻の部分と勾欄の部分との彫物に関連性はありませんが、中には柱巻から勾欄までを一枚の構図として彫られているだんじりもあり、その密度の濃さと壮大さは、愛好家の目を楽しませるものとなっています。

さらに板勾欄以外の部分も、例えば見送り三枚板には立体的で大振りな彫物が配置されており、迫力のある彫物が楽しめます。

この上ケ田南垣内のだんじりの場合は、『退治物三場面』が彫り込まれていて、どれも迫力のある作品。

それ以外にも、各所に味わい深い彫物が配置されてあり、長い時間見ていても飽きないだんじりと言えるでしょう。

個性豊かで見応えのあるだんじりが揃っている十市町の各だんじりの中でも、ひときわ個性を放つだんじりです。
また秋の祭礼時にご都合のつく方は是非、見て頂きたい1台です。

では今回はここまで・・・
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