茶屋のだんぢり漫遊録

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梅雨入りの雨の中、原木もしっとり濡れる

 


梅雨に入りまして、今年はコンスタントに雨の降る日がありますが、関東の方の水不足はけっこう心配でもありますね~。


さて、今回のブログは近畿地方でも梅雨入りを迎えた当日に行われたこちらの話題に触れましょう。


神戸市東灘区、御影地区平野區(上御影)の、だんじり新調に伴う『原木祭』が、6月5日(日)に行われました。



『上御影』という地区名は、昭和29年~平成3年まで使われていた呼び名で、現在は『平野』と呼ぶのが一般的。





ワタクシ、昨年3月に行われた、同じ東灘区の住之江區の『原木祭』にもお邪魔し、取材させて頂きましたが・・・




その日も雨でしたね~!


ワタクシ『雨男』ね・・・




ではまず、軽く現在のだんじりの紹介からしていきましょうか。



製作年代は幕末から明治初期と思われ、大工は淡路島の大工と推察されています。

昭和3年に平野が購入した際、お隣の住吉地区は吉田の大工《大石巳代吉》の手により改修されています。




現だんじりがずいぶん年代を重ねたきたことを受け、平野區ではだんじりの新調が決定され、大工は《吉為工務店》、彫師は《木下彫刻工芸》が担当することとなり、この日めでたく新調だんじりの『原木祭』が行われる運びとなりました。



神戸市内における『原木祭』は、住之江區に続いて2例目。

そのいずれもが、雨男のワタクシのせいで、雨でございます・・・



会館前の敷地内にドーンと据え置かれた原木は、滋賀県産の、樹齢約350年という立派なもの。



梅雨入りを迎えた最初の雨の中、しっとりと濡れて光沢を放つ姿は、あたかも山奥にて切り出された直後の様な瑞々しさです。

一番太い部分の直径はワタクシの身長ぐらいありそうですね~。




決してドシャ降りになる事もなく、シトシトと降り止まぬ梅雨らしい雨の中、午前10時より開始された原木祭は、氏神・弓弦羽神社から神職を招き、厳かに始まりました。




そしてこれ見なければ『原木祭』じゃない!

大工による『手斧始めの儀』



《吉為工務店》吉野寿久 棟梁の手により、原木に最初の刃が刻み込まれます。

それに続いて彫師による『彫刻始めの儀』



《木下彫刻工芸》木下健司 師の手により、原木に最初の鑿が打ち込まれます。


これにより、一本の原木は、だんじりへと生まれ変わる木へと変化したのであります。




実際にはこれに黒檀などの別の用材も一部に加わるとされていますが、まずはこの原木から彫物に使う用材と、屋根などの主だった部位に使う用材へと使用されます。




自然が350年という歳月をかけて育ててきた木は正に神の恵みであり、これに卓越した人の技術が加わり、だんじりへと姿を変えることは正に神と人とが手を携えて行う『祭りごと』そのものであるとは、弓弦羽神社の宮司さまのお言葉。

その言葉どおり、この原木が平野區の地域の皆さんの宝物へと変わるべく、これからまた長い歳月をかけて、変貌して行きます。

だんじりとして完成するのは、平成32年春の予定。



その日が来るのを、楽しみに待ちましょう。


平野區の皆さん、この度は新調だんじり原木祭、誠におめでとうございます。


信濃屋お半悠遊!だんじり録
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