交野型・・・について語りましょう…《前編》

この週末、近畿地方に『木枯し1号』が吹いたそうで、もう冬支度の季節です。
各地区の祭礼がほぼ終わり、色々な写真が集まって来ている中ですが、その中で、ふと気になっただんじりがあるので、ちょいと触れてみようかと思います。
こちら!

これは枚方市の茄子作(なすづくり)のだんじりです。
永らく曳行はされておらず、昨年までは境内に出して飾り付けされていたのですが、今年はこうして小屋を開けるのみになっていました・・・

ワタクシの目を引くその姿見、これは『北河内型』の中でも『交野型』と呼ばれる形式で、この形式のだんじりは皆、非常に古いものが多く、年代物のだんじりが好みのワタクシの嗅覚を刺激するものなのであります。
『交野型』と言えば、今年の夏に、交野市の星田妙見宮1200年祭の時に曳き出された、星田東のだんじりを鑑賞しました。

この星田東のだんじりは天保4年(1833年)の作といわれ、『交野型』のだんじりとしては一番その名を知られた存在かと思われます。
この星田にはもう1台、星田西のだんじりも現存しており、製作年代は星田東より一年遅れの天保5年と言われています。
今年の7月は星田妙見宮の記念祭にて曳行されましたが、本来の氏神は星田神社で、その境内に東と西が並べて保存されてあり、保存・曳行とも盛んであるように見受けられます。

さてこちら茄子作のだんじりは、氏神は枚方市の春日神社。
星田東のだんじりよりも古い文政元年(1818年)の製作といわれているだんじりで、実に200年近い年月を過ごして来ただんじりなのですが、現在はかなり老朽化しているように見受けます。

だんじり祭りの盛んな泉州や南河内方面と違い、曳行が盛んではないからこそ、こうした年代物のだんじりが、ほぼ原型のまま残されているという側面もあります。
小屋の前には、茄子作のだんじりを紹介する資料パネルが展示され、参拝や見物に訪れた人の目に触れるようにしてあります。

大工は不詳ながら、彫師は美濃村権左衛門、美濃村藤七となっており、かなり見ごたえのある彫物が垣間見えます。
『交野型』の特徴として挙げられる、背の高さとスリムな外観、さらに折り屋根式の屋根がハッキリと見て取れます。

小屋の中に据え置かれている状態で、なおかつ小屋の中へは立ち入る事が出来ないので、だんじりの側面や後面は拝見すること叶いませんでしたが、年代物のだんじりを目の当たりにするだけで、その年月の幅を感じ取る事ができます。

さて次回は同じ枚方市は春日神社の氏子のだんじりを、もう一台拝見して見たいと思います。
(次回に続く)
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