茶屋のだんぢり漫遊録

目次

胴割りと木取りの間の作業



2016年もあと2週間となりましたが、今年は時事ネタが早々になくなり、また今年を振り返る総集編的な内容のブログは『だんじりeo SE』の方で進めておりまして、はて、じゃあこっちは何のネタをお送りしようかと困ってる間に、日にちが経過しておりました。


なので今回は、ちょいと挟み込む感じで小ネタをお届けしておきます。


まだ今年のブログで触れ忘れているネタもあろうかと思いますが、ネタはあっても写真がない、写真はあってもそれだけじゃ文章を構築できないなど、なかなか両方揃ってるものが見当たりませんでね・・・


8月のとある日曜日、真夏の炎天下の照りつけるもとで、とある新調だんじりの原木、『胴割り』という作業をお届けしたのを覚えておられますかね~?




今回はその次の段階、『製材』と呼ばれる工程をお見せしようかと思います。



場所は8月と同じ、とある製材所




『胴割り』とは、原木をひとまず3枚に切り分け、中の乾燥を進めるための作業としてご紹介したと思います。

そのまま2年近く乾燥させる場合もあるとは思いますが、今回はもう少し切り分けを進めるために『製材』を行うとの事。

『胴割り』は製材所の庭地にレールをセッティングして行われましたが、今回の『製材』は、建物の中にある製材機を使用します。

もともと設置されているレールの上を、製材用の電車が走る感じですな。



その電車の上に固定され、どの部分に刃が通るかを設定したのち、いざ高速で回転する刃に向けて、電車を動かしてゆきます。


切断したい面に対して、原木の外面が丸いままだと安定しないので、最初は原木の端っこを削り、底面を作る作業から。




その最初に切断した面を下に置き直すことで、原木を垂直に立てるんですな。



ここから棟梁の指定する寸法にセッティングして、いざ本割りの作業へと入って行きます。


強靭な刃が高速回転する中を、原木は気持ち良いぐらいまっすぐに、スッパリと切り落とされます。



もとより上質のケヤキであるため、その断面はうっすらと赤く、また木目も綺麗に並んでいます。

マグロの解体をしてるのかと思うぐらい、その断面は鮮やかです。




原木に緑色の線が見えると思いますが、これは刃の通る道筋を示すレーザー光線です。



ここを寸分狂わず刃がすり抜けて行きます。



切り分けられた用材を目の前に、棟梁はこの時点でどの用材をどの部分に使用するか、ある程度の当たりをつけてゆきます。



写真には写せませんが、屋根の葺地と破風の型を持参して、用材のどこをどう切って、その部材を切り出すかの見当をつけて、チョークである程度のイメージを描くんですな。


この写真に見える『ハフ』の文字は『破風』の事であり、その下には『土呂幕』と書かれてあります。



この状態で、保存、乾燥に入ると思われるのですが、棟梁に伺うと、もしかしたら来年の中頃に『木取り』だけは行うかも知れないとの事。

こうしてブログなどでお見せできるのはその『木取り』ぐらいまでで、そこからだんじりの部品へと姿を変える『木作り』がされると、もうそれは新調だんじりの部品ですので、お見せできなくなります。




この日は朝から夕方までこの取材で、ワタクシも一日中『立ち仕事』でした。

見ていて飽きはしませんが、だんじりを製作して行く工程は、一つ一つが緻密で大変であると感じた1日でしたね。」




さて、どんな新調だんじりが出来上がるでしょうか?
それはまだ、数年先の話・・・。


信濃屋お半悠遊!だんじり録
<<前の記事 次の記事>>