茶屋のだんぢり漫遊録

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7月に行われた入魂式を二つまとめて・・・




台風5号が、各地に様々な爪痕を残しながら近畿地方からは遠ざかりました。
一時的に、岸和田市や貝塚市、また羽曳野市や富田林市、河南町などの地域に『避難準備情報』さらに『避難勧告』が出されるにまで至りましたが、ひとまず、だんじりを有する地域に関しては目立った被害は回避された様であります。


前回は、まさかの豪雨に見舞われた『だんじり行事』をお届けしましたが、今年の夏はホンマに一局集中型の豪雨に日本中が悩まされる年になっております。




この先もこの様な天気傾向になる場合も想定されますので、各地の皆様におかれましては、くれぐれもご用心を。


さて今回お届けするのは、7月に行われた『だんじり行事』の中から二つをピックアップしてお送りしましょう。


まずはこちら。



堺市・津久野地区宮山のだんじり

《北本工務店》での修復を終え、7月2日(日)に入魂式が行われました。



宮山のだんじりは平成5年に新調、翌6年に完成しただんじりで、大工は《天野工務店》、彫師は松並義孝 師の手による作品です。




現在、津久野地区にて唯一の『上地車』として活躍する宮山のだんじりは、平成に入ってからの新調だんじりとしては津久野地区で第1号となるのですが、それ故、『上地車』であるという側面もあります。

津久野地区では、宮山の新調から6年後の平成11年に、神野町が現在の『岸和田型』のだんじりを新調するまでは、すべて『上地車』を保有する地区でした。

昭和の終わり頃から平成の初めにかけて、堺市内はどことも曳行スタイルに変革の訪れた時代でした。



それまでの『上地車』独特の曳行から、『遣り廻し』を中心とした泉州式の曳行スタイルへと変わりつつある時代の中で、津久野地区も、『上地車』を保有しながらも遣り廻しを中心とした曳行へと様変わりを遂げました。

現在の、津久野駅前ロータリーを周回する曳行コースは、津久野の旧村からは離れた場所にあり、その駅前まで出て行ってだんじりを曳き回すようになったのは、まさにそうした変革期がもたらした象徴と言っても過言ではないでしょう。

そんな時代の中で当時の宮山のだんじり(先代だんじりね)はひときわ年代物の、幕末頃に製作されたと看られるだんじりで、宮山としては遣り廻しに適しただんじりを持つ必要があったのです。



そこで新調されたのが現在のだんじりで、当時はまだ、『上地車』で遣り廻しを行う祭礼に対応した形を採用したという事なのです。


前述したように、津久野地区では宮山の新調から6年後の平成11年に、神野町が現在の『岸和田型』だんじりを新調した事で、それ以降の新調だんじりはすべて『岸和田型』への変貌を遂げたために、宮山は唯一の『上地車』となったのです。



現在でも宮山のだんじりは、他町に負けない遣り廻しも行いながら、『上地車』独特のしゃくり上げなどのパフォーマンスも行うという、変革期の祭礼を現代に残す曳行スタイルを行なっていて、唯一無二の存在感を発揮しています。




昨年は泉州から初めてにして唯一、『だんじり in 大阪城』にも参加しました。

また10月の祭礼時には、ここ宮山のだんじりにも注目して欲しいと思います。




宮山の皆さん、この度はおめでとうございます。



さぁて、今回はもう1台、7月2日(日)に入魂式を行なっただんじりをお届けしましょう。

こちら!



泉大津市は『曽根・助松地区』にある北曽根のだんじりです。


こちらは《地車製作 隆匠》にて修復されまして、宮山と同じく7月2日(日)に入魂式が行われました。



こちらのだんじりは平成9年に新調の、翌10年完成のだんじり。

大工は《植山工務店》植山良雄 棟梁で、彫師は《木彫 筒井工房》 筒井伸 師による作品。




ここ曽根・助松地区も、平成の前半に『上地車』から『岸和田型』へと変革を遂げた地区で、北曽根のだんじりはちょうどその真っ最中に新調されただんじりと言えます。

現在、隣接する穴師地区とともに『泉大津十二町連合』を形成する地区ですが、氏神は助松町が助松神社で、それ以外は曽根神社を氏神としています。



和泉市の池上町が、この『泉大津十二町連合』に参加しているのも、氏神を曽根神社としている事が理由となっています。


だんじりは助松町が古くから『岸和田型』を保有していましたが、それ以外は平成に入ってから新調、もしくは購入によって現在のようにすべて『岸和田型』を保有する地区となっています。



今回ご紹介した宮山、北曽根とも、大がかりな修復ではありませんでしたが、それぞれに修復を施して、本年の祭礼に備えます。




今年は『堺市内の祭礼』と『泉州十月祭礼』の日程が重なる年にあたり、参加者、見物客とも大変ではありますが、宮山同様、ここ北曽根のだんじりにも注目して下さい。


北曽根の皆さん、この度はおめでとうございます。




では今回のブログはここまで・・・


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