茶屋のだんぢり漫遊録

目次

今はまだ、その余韻に浸りたい・・・《後編》

 


前回からの続きとなります。



9月16日(土)、早朝より始まった今年の『岸和田だんじり祭』は、九州方面より台風が接近し、前々からの雨予報が動かぬまま当日を迎えました。

午前6時の『曳き出し』に於いて、全22町の1発目のカンカン場が終了するのを待ってたかのように、ポツポツと雨粒が落ち始めました。




まぁまぁまぁまぁ・・・

もとより雨予報のこの日、夜明け前から降られるよりは、せめて各町1発目のカンカン場だけでも持ちこたえてくれて、良かったのかも知れません。


その後、雨は本降りを迎えるでもなく、シトシトとした秋雨で午前中を経過しました。




もとより岸和田だんじり祭に雨など関係ありません
むしろワタクシが青年団だった頃は、平成元年から平成5年まで毎年『曳き出し』が雨でした。
中でも平成5年の雨は特にひどかった記憶があります。

それに比べればこれぐらいの雨、何でもないな・・・そんな風に思っていたんです。
その時までは・・・




午後になり、『岸和田駅前パレード』となりました。
もうここからは写真がないんです。

ワタクシの一眼レフがついに沈黙してしまいました。
しかしそのカメラを置きに行く事も出来ず、駅前パレードは進行します。
このパレードの途中から、とうとう雨が本降りに!・・・

軒先ひとつない駅前広場で、ワタクシの撮影は続きます。
幸い、動画カメラは雨対策が功を奏して水没は免れましたが、一眼レフの雨対策は失敗に終わり、その後ワタクシの一眼レフが目を覚ます事はついにありませんでした。
ただいま入院中・・・


さぁパレードが終わってからの午後曳行は、もう『寒い』の一言。
モチロン規定の時間まで曳行は続けられますが、ワタクシは祭礼参加者でもありますので、法被の上に合羽を着るなんて事はありません。



しかし、ワタクシと同じように、だんじりの横をついて走る若頭の面々も、みんな凍えながら走っています
法被はモチロンバッチも地下足袋も、衣服のすべてに水が浸透し、走っても走っても身体が温もらないのです。

綱を持つ青年団だけは、最後まで元気でした。
カンカン照りの炎天下を曳くよりは、体力を持続出来ている様で、何よりあんまり喉が乾かないのは、青年団にとってはむしろ好都合なのかも知れません。

とは言えこれだけ雨が降り、路面も足回りも状態が悪くなると、もう遣り廻しが決まりませんからね。
そこはやっぱり大変だったと思います。




この日の夜の曳行は、雨のため中止となりました。

夜の『灯入れ曳行』は、昼間に綱を持てない小さな子供達のために行われますが、これだけ雨が降ると、その子供達に風邪を引かせてしまいますからね。

これは仕方のない措置であると思います。



さて明けて9月17日(日)

祭礼は本宮を迎えました。




台風が刻一刻と接近している割には、前日までの雨は上がり、時折青空が顔をのぞかせるお天気。

これには多くの人が不思議に思うかも知れませんが、自称『お天気博士』を自負するワタクシからすれば、これは予想出来た事なのです。

台風本体というのはむしろそういうもので、進路が決まらない内はストレスを溜め込み、勢力も増して雨雲も巻き込みますが、いざまっすぐ向くとスピードを上げ、勢力も弱まり、雨雲は分散するのです。



なので、雲と雲の間に入れば、青空も見えます。

モチロン雨雲の濃い部分もありますので、そういう意味ではこの日の岸和田はラッキーだったのかも知れません。

何にせよ良いお天気になった祭礼本宮は、午前中から各町が宮入りに向かいます。



昨日、一眼レフが永眠したワタクシは、この日はスマホでの写真撮影。

いずれ当社スタッフが撮影した写真が手に入ると思われますが、ひとまずブログは、ワタクシによる写真でお話してゆきます。


岸城神社へ向かう市役所前のコナカラ坂でも、各町が年に一度の遣り廻しを決めて行きます。
ワタクシは坂の下のビルの前で撮影させてもらい、実はちょっと懐かしい人達との再会もあり、楽しい時間を過ごさせてもらいました。




午後からもお天気は持ちこたえてくれまして、
『雲、多めなれど雨降らず』
で経過して行きました。



そして迎えた、午後5時前後。
誰が名付けたのか、いわゆる『ラストモード』と呼ばれる時間になり、各町のだんじりは今年の祭へのすべての思いを込めて、次々にラストの遣り廻しを決めて去って行きます。




かつて、岸和田出身の女優・川崎亜沙美さんが某TV番組で語っていた『奇跡を起こしに行く』が、まさにこの時なのであります。

子供からお年寄りまで、参加者も見物客も、男も女もおじいちゃんもおばあちゃんも、すべての人が、気持ちを一つにするのがこの瞬間です。



そして、これ以上は無理という極限のスピードのまま、道のセンター・ドンピシャで遣り廻しが決まると、だんじりはそのまま新幹線の様な速さで駆け抜けて行きます。


前日は雨で寒い時間もありましたが、最後には
『ええ祭やった!』
って言える瞬間
が、どこの町にも訪れたのであります。


やがて迎えた最終日の夜・・・

とうとう岸和田も台風の暴風域へと呑み込まれ、時折吹き抜ける猛烈な風と、瞬間的な豪雨に見舞われ始めました。



せっかく始まった灯入れ曳行も、途中で取りやめる町が出てきました。

だんじりは前面に立てるロッコツによる提灯は付けず、屋根廻りだけ提灯をつけての曳行



本来なら塔原線を灯りで雰囲気を盛り上げるはずの露店が、軒並み店じまいをするという異様な光景の中、各町のだんじりも、普段より早い時間に入庫となりました。


最後は台風本体の猛威にさらされてしまう形になりましたが、今年の『岸和田だんじり祭』は概ねこんな感じで幕を閉じました。

まだちょっと写真が至りませんで申し訳ないですが、その余韻に浸りながら、ご一読して頂けたのなら幸いです。





さぁて!


もう『だんじりシーズン』は堺市や泉州各地へと飛び火しておりまして、この土日も堺市内や泉州の一部の地区で試験曳きが行われました!

それと同時に、今月から始まった
『eo 関西だんじり 秋祭礼』
は、お楽しみ頂けてますでしょうか?

これに関して、近々ワタクシから発表がございます。
またこのブログにてお知らせしますので、楽しみにお待ちください。


では、長くなりましたが、今回はここまで・・・

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