茶屋のだんぢり漫遊録

目次

だんじり祭と台風





台風21号が、関西一円にその大きな爪痕をのこして、北へと駆け抜けて行きました。

さらに今朝早く、北海道で大規模な地震が起こり、広い範囲での被害が確認されています。

まず、亡くなられた方には心よりご冥福をお祈りすると同時に、被害に遭われた方々、いまだ生活が復旧されない方々には心よりお見舞い申し上げます。


しかしまぁ、強烈な台風でしたねー。

ワタクシも40数年生きてきましたが、こんな身の危険を感じる猛烈な風は初めての経験でした。

様々な被害の情報も入っておりますが特に泉州地方の各地区で、折れ曲がって道路を塞いでしまっている電柱や、各地のだんじり小屋の扉が破損したとか、献燈台や花板が倒れてしまっているなどの情報をキャッチしています。

中には、祭礼時のパレードコースにあたる道でも被害が出ており、これがもし来月の今頃なら、もしかしたら祭礼を執り行えない事態も起こっていたかも知れないと思うと、ちょっと複雑な気持ちが入り混じります。




9月15日(土)・16日(日)の本番に向けて、9月2日(日)に試験曳きを終えたばかりの岸和田市でも、いたる所で停電や樹木の倒壊が発生しており、よもやここまでの被害が出るとは、おそらくほとんどの人が想定してなかったのではないでしょうか?



(掲載写真は祭礼時の写真ばかりにしております)


台風といえば、昨年は各地のだんじり祭にとって、台風の当たり年となりました。


ワタクシ信濃屋も40数年間生きておりますが、大阪という土地はなかなか台風の直撃は受けないイメージがありましたけどね。

そんなものは虚像にすぎないのは分かっていても、天気予報などで前々から来るぞ来るぞ、警戒して下さい警戒して下さいと言われる台風ほど、大阪の手前で進路が逸れたり、たいした暴風雨にならなかったり、そんな事が長年にわたり続いてきました。


そんな長い年月の中でも、そりゃ稀に台風の暴風圏に入ってしまい、公園の樹木が倒れるなどの被害を見た事もありましたが、まぁそれでもほとんどの台風は大阪を避けて通っていたので、いつしか
『大阪は台風に嫌われている』

だの、

『大阪には神通力があって台風を寄せ付けない』

だの、そんな根拠のない都市伝説まで、まことしやかに囁かれたりしていました。


ところが・・・


ここ数年ですかねー?


台風が大阪を含めた関西にも、上陸、もしくは暴風圏に巻き込む事が増えてきたような気がするのです。

しかもそれが、だんじり祭の日程にかぶさる事が多くなってきました。




記憶に新しいのは勿論去年ですが、それ以前にも、2013年(平成25年)の岸和田だんじり祭は、台風の上陸や直撃こそなかったものの、祭礼日の9月15日(この年の岸和田は本来の日程である14日・15日だった)に紀伊半島沿岸を台風18号が通過する際、近畿一円に大雨をもたらし、岸和田だんじり祭の本宮は午後から夜中まで一瞬の止み間もない土砂降りの大雨となりました。

京都は嵐山の渡月橋が水没した事で、ワタクシの記憶に刻まれている台風です。



そして昨年は9月の岸和田に限らず、10月の祭礼日も台風の直撃を受け、大阪府がまともに暴風圏に巻き込まれる事態が2度も起こり、そのどちらもが、大規模なだんじりの曳行日に重なるという事態になりました。


これには参りましたね〜。


昨年の岸和田だんじり祭は、土曜日が早朝から台風の影響による大雨となり、夜の灯入れ曳行が中止になりました。



翌日の本宮は、台風本体が雨雲をあまり巻いていなかった事が幸いし、台風が近づいているにも関わらず朝から晴天に恵まれ、午後曳行終了までは雨が降らないという奇跡的なお天気となりましたが、夜にはとうとう暴風圏に入ってしまい、夜の曳行は行われたものの、だんじりの前に肋骨を立てることは危険と判断され、屋根廻りなどに提灯を巡らすのみで曳行する事となりました。




それでも、曳行時間の終了が近づくにつれ雨風は激しさを増す一方で、昨年の岸和田だんじり祭は、2日とも台風の影響をモロに受けた形となりました。




まぁ、これほどの事はそうはあるまいと思っていた10月・・・
同じことが起こりました。

第3週目の土日、つまり南河内や北河内を中心とした広い範囲でだんじり祭が行われる日に、またもや台風がやって来ました。


この時も土曜日の早朝から降り始めた雨はやがて本降りとなり、近畿一円がスッポリと雨雲に覆われてしまいましたので、だんじりの曳行されている地域では例外なく、一瞬の止み間もない大雨が夜まで降り続けました。

そして翌日の日曜日・・・


近畿一円に暴風、大雨、洪水警報が発令され、特に土砂災害の危険が差し迫った山間部を中心に、だんじり曳行を取りやめる地域が相次ぎました。

そんな中、大阪市城東区などは最後まで祭礼を継続しましたが、午後6時を回って台風の暴風圏に入ったと見られ、雨に加えて激しい風が吹く中、だんじり曳行を継続していました。


こうして振り返ると、本当にここ数年で、祭礼日やその近辺に台風の影響を受けることが増えてきたのは間違いない様であります。




岸和田だんじり祭は9月の中旬という台風シーズンに行われるため、過去にも何度か台風の影響は受けて来ました。



ワタクシの記憶の中では、1991年(平成3年)や、1997年(平成9年)も、台風の接近による多少の雨や風などの影響は受けましたが、いずれも一時的であって、丸一日大雨や暴風にさらされる様な事ではなかったと記憶しています。


岸和田だんじり祭に関連した台風といえば、やはり昭和36年(1961年)の『第二室戸台風』は外せないと思います。

超大型で猛烈な勢力を維持したまま接近する台風に、祭礼の開催も危ぶまれたそうですが、祭礼前はまだ台風は九州沖に居た事から、とにかく上陸前という事で9月14日・15日の祭礼は決行され、その翌日9月16日の朝に台風は室戸岬に上陸。

そこから北上した台風によって、近畿一円に多大な被害がもたらされました。


今回、大阪府や兵庫県など近畿一円に大きな被害をもらたした台風21号は、この『第二室戸台風』とよく似たコースを辿り、また非常に強い勢力を保ったまま駆け抜けて行きました。

民家の屋根瓦が散乱し、ビルの足場が崩れ、看板が吹き飛ばされ、公園の樹木が折れ、トレーラーも横転する・・・昼間という時間帯だけに、ニュースなどのメディアを通じてさまざまな被害の瞬間を目撃しながら、我々は長年エピソードとして聞いて来た『第二室戸台風』を、この時代に実体験したのかも知れません。


まさに、『平成室戸台風』と名付けても良いのかもしれない、そんな台風でありました。




今回の台風では、岸和田をはじめ祭礼を目前に控えた地域でも、民家の塀が崩れたり電柱が倒れたりといった被害が出ました。


岸和田では、『花寄せ』を一旦中断して、復旧作業を優先した町や団体もあります。


台風接近が祭礼本番ではなかった事は唯一の幸いであると思います。

もうこんな台風は今後も来ないでほしい事を願いつつ、今回のブログはここまで・・・

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