茶屋のだんぢり漫遊録

目次

季節は立冬・・・冬支度の始まり《後編》




日付は変わって11月4日(日)を迎えました。
前日の16台に加えて、この日さらに16台のだんじりが搬入されて来ます。



この日も午前3時頃に1番目のだんじりが到着したそうですが、ワタクシが現場に到着したのは3時半頃で、すでに3台のだんじりが到着していました。



前の晩も20時頃まで活動した上に2日連続でこの時間から活動するのはさすがにキツイのですが、前回のブログでも触れた『摂河州地車聯合』『若中』の皆さんは2日連続もなんのその!

現場で運営業務をしておられます。

もう、脱帽しかありませんね。



この日は前日に比べ広範囲からだんじりが集まって来ますので、搬入も大変です。

特に尼崎から参加の2台は、低床式トレーラーで運搬のため、その作業も大掛かりで困難を極めます。



それでも7時半までにはすべてのだんじりが搬入を完了し、大阪城ホール西側の道路に並べられました。




昨年、プログラムが大幅に遅れた事を踏まえ、この日は前日より30分早く曳行出発。



例年通り、会場内にて一夜を明かした『前日組』から順次スタートし、そこに今朝到着した『当日組』が続くという形。



会場の出口でその様子を見ていると、昨日も見た風景の後に、今日初めて見る風景が繋がる瞬間、雰囲気が一変するのが分かります。

『あ、今日はとびっきり特別な日なんや!』

という空気の変化を感じ取れるのは、前日を見ているからこそであり、だからこそワタクシは、初日から通して見ることを推奨するのです。



『初日から見ましょうね。そしたら次の日がいかにスペシャルな日であるか、実感するから!』

であります。



そんな各地から集まっただんじりが、一同に大阪城公園内を曳行される風景は、その年の最後を飾る大規模なイベントとして、すっかり定着した感があります。




前日の倍に及ぶ32台のだんじりが、会場内にすべて整列するまでには時間もかかります。

多少の時間押しは仕方のないところであります。

それと、やっぱりワタクシ信濃屋がこだわるのが『お天気』。



祭礼は多少の雨でもそれはそれですが、やっぱりイベント事は晴天に限りますよ!

幸いここ数年の『地車 in 大阪城』は晴天が続いておりまして、昨年、一昨年も爽やかな秋晴れのもと行われました。

何度か雨になった事もあるにはあるのですが、大雨という感じになった事はなく、割と小雨で済んでおります。



やっぱり祭礼と違ってイベント事なんでね、雨が降ってしまうとたちまちテンションが下がってしまいます。

この秋晴れも太閤はんが恵んで下さるものと感謝しながら、心からエンジョイさせてもらわねばならないでしょう。




それからこの『地車 in 大阪城』では、毎回何かしら新しい試みがされるものですが、今年は『だんじりラジオ』が行われました。

どうアクセスすれば聴けるのか…までは調べなかったのですが、ステージ上での司会を通常のMCではなく、ラジオのスタジオを設置してのDJ方式で行われ、いわゆるパーソナリティーを務める男性と、アシスタントの女性、そしてコメンテーターとの掛け合いトークで場の空気を作る…というもの。



その中で、『だんじりと大阪城との関係』という部分で、大阪城築城の際の石垣を運ぶ台車の話を持ち出していたので、そこに関してはちゃんと調べてるなぁって思いましたが、だんじりの動きやなんやの話になると、完全に的外れな素人話になっていたので、それはとても残念でしたね。

やっぱりだんじりに詳しくてお喋りの達者なゲストは必要でしょう。

来年もやるんなら、ワタクシ撮影のカメラをマイクに持ち替えてナンボでも解説しますんで、いつでもゲストに呼んで下さいや!



それから、この『地車in 大阪城』の文字、今年は書家の『俵 越山』先生の筆によるものだそう。

今でこそTVの表舞台から遠ざかって久しいですが、かつて『越前屋俵太』の芸名で『探偵!ナイトスクープ』の初期の探偵としても活躍しておられた方。
この日は『だんじりラジオ』のコメンテーターとして、名調子を披露しておられました。



↑俵越山先生。またの名を越前屋俵太!

かく言うワタクシ『信濃屋お半』という活動名、実は『越前屋俵太』をヒントにしているのです(由来はまた別)。
ワタクシにとってはそれぐらい影響の強い方なので、思いがけずこの日お会いできて、だいぶ嬉しかったです。


さてさて、この日の午後からのパフォーマンスは、32台のだんじりを4つのグループに分けて、8台ずつのパフォーマンスとなりました。



これぞ『地車 in 大阪城』の真骨頂と言って良い、
『普段は絶対に見られない、だんじり同士のコラボ』
であります。



とは言え、8台ものだんじりが中央に集まると、まさにギュウギュウ詰めでありまして、あまりの密集感に入り混じる興奮、見物客との距離の近さまで、何もかもが想定を超えた『あり得ない感』に満ち溢れていました。



ね、やっぱりこのイベント、フタを開けるまで何があるか分からない。


4組のパフォーマンスの後は、いよいよお待ちかね、尼崎から参加の小嶋、丸嶋の2台による、尼崎名物『山合わせ』が披露されることに。



安全確保のため本来ならもっと広いスペースが必要とされる『山合わせ』ですが、押し寄せた見物客をこれ以上どうにも下げられず、本来なら『山合わせ』など出来ないぐらいに人が密集していたのですが、その中をまさに強行という形で『山合わせ』は行われました。



『山合わせ』を間近で見るのは初めての人が大多数とあって、迫力あるだんじりの取っ組み合いに、詰め掛けた見物客は大歓声で見守っております。

途中、『おっとっと!』という場面もありましたが、幸い事故にはならずに無事に終了。

多くの人が生の迫力に満足されたのではないでしょうか?




本来、だんじりのイベント事と言うとあれこれ規制が厳しく、『アレは禁止、コレは禁止』と、何のためのイベントやねん?…て言いたくなる様なイベントが大半を占める中で、ここ『地車 in 大阪城』は、その地域の特色や持ち味を発揮させる事に重きを置いていて、だからこそ参加した町は満足を得られるんでしょうね。




思えば昨年の泉大津も、至る所で『カチアイ』を披露してましたなぁ。


夕刻、陽が西に傾きつつある中を極楽橋広場に再度集結した32台のだんじり。



天守閣を真近に臨むその場所で、今年も太閤はんに見てもらう事が出来ました。


全町一斉手打ちの後、1台1台撤収して行くにも時間がかかります。



秋も深まり、日の暮れが早いこの季節、あっという間に辺りは闇に包まれます。



そんな漆黒の闇にポッカリ浮かび上がった天守閣を背に、だんじりが1台、また1台と大阪城を後にします。




確かにこれは祭礼ではないけど、もはや『祭』と呼んでも良いぐらい、参加者の魂の爆発があるのです。

それだけに、終わりの時間は寂しいもの。

名残惜しさと来年への期待は、これも『祭』と変わらんものです。




そして、この『地車 in 大阪城』をもって、今年の『だんじり行事』はひとまず終了となります。

まだ年末にかけてポコっとどこかで何かあるかも知れませんが、ひとまず終了。


季節は『立冬』を迎え、にわかに冬支度を始める、そんな時期になって行きます。


思えば春先から長らく続いた『だんじりシーズン』も、終わりを迎えました。




これから年末まで、あっという間なんでしょうねぇ。

当サイトユーザーの皆さんも、季節の変わり目、どうぞお風邪など召さないようお気をつけて、新しい年に向けて過ごして行きましょう。


2度にわたってお届けした『地車 in 大阪城 2018』のリポート、ここまでにしておきます
信濃屋お半悠遊!だんじり録
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