若野棟梁製作のだんじり、修復

岸和田市は春木地区の大道町、同じく岸和田市は山直地区の岡山町東出小路と、8月5日(日)に入魂式を行なった町をご紹介して、残るは同じ日に入魂式行いましたここ!

和泉市は黒鳥地区の、上泉のだんじり。
平成16年に新調されただんじりで、大工《若野工務店》若野啓造 棟梁、彫師は《松本彫刻》松本幸規 師。

若野棟梁と言えば、昭和13年に岸和田市並松町に生まれ育ち、長年にわたり並松町の修復を手がけていた大工棟梁で、その若野棟梁が初めて請け負った『新調地車』がこの上泉のだんじりであり、若野棟梁の出世だんじり。

だんじり専門の大工棟梁ではなく、主に一般建築を手がける傍ら、昭和の頃は生まれ育った並松町のだんじりを一手に見守る大工棟梁でありました。
平成に入り、同じく和泉市黒鳥地区の坊小路の先代だんじりの修復なども手掛けていました。
平成15年から数年間は、この黒鳥地区にとって一大変革期にあたる時代で、辻小路が平成15年に《大下工務店》にて新調、同じく平成15年に坊小路が岸和田市の箕土路町よりだんじりを購入。
その翌年に誕生したのがここ上泉のだんじりです。

少し年数が空いて平成20年に、郷小路が堺市の八田南之町からだんじりを購入。
この時の修復も若野師が手がけています。
また『和泉大連合パレード』のコースが、府道30号線(通称:13号線)を使用した現在のコースに移行したのも平成16年ということで、黒鳥地区のみならず和泉市全体が発展を遂げた時代であり、そんな時代を象徴しただんじりであるとも言えるでしょう。

前回、岡山町東出小路のブログでも触れましたが、ひとつの町の『字村』ごとにだんじりを所有する例として、ここ黒鳥地区もそのひとつかも知れません。
かつての黒鳥地区は、辻村(辻小路、郷小路)、上村(上泉)、坊村(坊小路)の4小路から成り、『小路』と言う呼び名も『字小路』の意味で、『字村』と同じような意味合いであります。

ご紹介しているお写真でも、家の軒先が迫る細い路地をだんじりが曳行されていますが、バス通りから黒鳥地区の中へ一歩入ると、古いお屋敷の様な大きな家が建ち並び、重厚な瓦屋根の間を縫うように、細くクネクネと入り組んだ路地が通っています。

その地域の真ん中に鎮座しているのが、氏神・黒鳥天満宮神社であります。
そんな入り組んだ路地ばかりの地域なので、黒鳥地区の旧村の中には、遣り廻しに適した曲がり角はありません。

村道からバス通りに出る交差点やバス通り同士が交差する丁字路が、遣り廻しのスポットとなります。
今回の修復はこのだんじり新調以来初めての修復となり、新調時には脇棟梁としてこのだんじりの製作に尽力した《泉谷工務店》にて行われました。

この日、早朝から行われていた岸和田市の大道町や岡山町東出小路の入魂式よりも若干ゆっくり目の時間から行われており、大道、東出終わりで駆けつけてきた見物客で、賑わっておりました。
地域の大切な宝物、これからも大切に曳行されますように。
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