茶屋のだんぢり漫遊録

目次

長い間眠っていた場所へ・・・《前編》

 



今年に入って、新年のご挨拶的な内容のブログを2度ほど更新させて頂きました。



それを踏まえまして、また元どおりに過去のネタを漁って行こうと思うのですが・・・



まぁこの時期、本当にだんじり行事としてはシーズンオフでございまして、真新しネタというのは枯渇する時期です。

この時期を利用しては普段見れないだんじりを見学させて頂いたり、少し社説的なコラムなども考えたりはするのですが、今年は昨年の後半に書き残しているネタがたくさんありますので、それらを拾いに行くだけで春を迎えれるのではないかと、浅はかな考えでおります。


とは言え、時期的にもうずいぶん遡る事になるので、通常のブログの様に『こんな行事がありました。その様子をリポートします・・・』的な書き方ではあまりに時期外れなので、ちょっと紀行文風や、探訪記的なテイストにアレンジして書いて行こうと思うのですが・・・


そんな今年の『越冬ブログシリーズ』の第1弾は、まぁこんな感じでスタートしてみましょうかね・・・



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2018年の夏といえば、甚大な被害をもたらした『西日本豪雨災害』に始まり、その猛烈な雨が上がったと思ったら、すぐに強烈な猛暑が襲って来た。

まだ7月だと言うのに、最高気温が連日36℃を超えるというとんでもない暑さの中、各地の夏祭もみんな汗だくになりながら行われた。



なんでも、太平洋高気圧の勢力を増大させる『チベット高気圧』とかいうものが張り出して来て、ダブルの暑さをもたらしたのだそうだ。

そんな理屈はどうでも良いから、とにかくちょっとは涼しくはならないものかと連日願っていた。


僕自身は予測はしていたのだが、夏の前半からこれだけ暑くなったら、実は後半というか、立秋を過ぎて残暑に入ったら少しは暑さが和らぐのではないかと・・・


思った通り、あれ程暑かった気候がお盆を手前にして少し和らぐ日が出て来た。

お盆を過ぎたら空気が入れ替わって湿度が下がり、暑いながらも秋めいた気候へと変化して行った。

そんな8月を通り過ぎて9月を迎えた最初の日曜日・・・


そう9月2日の日曜日は、ご存知『岸和田だんじり祭』および『春木地区だんじり祭』の試験曳きの日なのであるが、そんな日の未明、僕はこんな場所に居た。



トラックで運ばれて来た1台のだんじりが、道路へと降ろされている。

ここは和泉市の松尾地区久井町である。



時刻としては午前5時のちょっと前。
泉佐野市に作業場を構える新進気鋭のだんじり大工《大真工務店》により修復され、この日、入魂式とお披露目曳行のため、久井町の町内まで搬入されて来ているのである。



夏の前半なら、午前5時といえばずいぶん空が白んでいるが、9月ともなればまだ真っ暗なのである。


普段、泉州地方でだんじりの入魂式といえば、早朝にもかかわらず大勢の見物客が詰めかけるが、この日はほとんど祭礼関係者および町内の人達で、マニアックな見物客はまばらである。



人混みが苦手な僕個人的としては、こんな感じの方が好き。


さて準備が整い、まだ明けきらぬ空の下、鳴物と曳き手の掛け声が山あいの町内に響く。




まずは入魂のため、氏神様である久井八幡宮(八幡神社)へと向かうのであるが・・・

この神社への登り坂ってのがなかなかの急勾配で、曳き手である青年団は歯を食いしばってだんじりを曳き上げる。



最初は鳥居前に据えて入魂式を行うのかと思っていたら、どうやら境内まで曳き上げるご様子。

東の空がようやく白み始めて、眼下にご覧の様な風景が広がる。



祭礼日でも、連合パレードや周回コースの曳行では見られない光景が、目の前で行われている。
それだけで、この日ここへ来た甲斐があるというもの。




ようやく曳き上げ、境内にだんじりを据え置くと、なんとも『やりきった感』が漂って、まだこの先お披露目曳行もある事すら忘れてしまいそうになる。



背後にだんじり小屋が見えている通り、久井町のだんじりは普段はこの場所に格納されている。



という事は、その日の曳行の最後の最後に、この『坂上げ』が待っているという事になる。




さて準備が整い、入魂式の時を迎えた頃には、すっかり夜は明けていた。

(次回につづく)

 




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