始まりはいつも雨…でもないけど・・・

今年に入って最初の入魂式が行われました。
・・・と申し上げるのは実は厳密ではありません。
去る2月24日(日)に、三重県名張市は名張本町のだんじりが修復を終え、入魂式とお披露目を行なっております。
とは言え、ワタクシ自身は現地に赴いておらず、またお写真も手に入っておりませんので、今はまだご紹介出来ません。
ワタクシも取材に出向き、また手元にお写真のある、今年最初の入魂式をご紹介しましょう。
こちら!

尼崎市は築地地区・南濱のだんじり。
このお写真はすでにお披露目曳行のもので、あいにくの雨のためシートですっぽり覆われての姿となっております。

当ブログでは昨年秋頃からの未報告ネタを拾いに過去へ戻っておりますが、今回はちょっとお休みして、最新の時事ネタをお届けしておこうと思います。
この度、文化庁による地域活性化事業の助成金を活用し、岸和田の《大下工務店》にて修復を行いましたここ南濱のだんじり・・・

ワタクシを含め少々古くからのだんじり愛好家の方には、少々懐かしい香りがするだんじりではないでしょうか?
ご存知の方も多いでしょう、堺市・鳳連合の上の先代だんじり。
堺市および泉州の皆様には馴染んだものと思いますが、町名は『上』と書いて『かみ』と読みます。
『上村』と表記する場合は『かむら』と読みます。

このだんじりは大正4年に、和泉市伯太の業者から購入した中古だんじりと、『上』の先々代のだんじりとを下川安治郎の手によって組み合わせたもの。

小屋根側の勾欄が一段下がっている『段差勾欄』が特徴のだんじりで、それは平成10年にここ南濱が購入し、尼崎仕様の姿に改修されてからも残されていました。

今回の修復で、その『段差勾欄』も通常形式に改修され、また獅噛み三面も《辰美工芸》によって彫り替えられました。


そりゃ個人的には、貴重で特徴ある『段差勾欄』の形式を、後世まで末永く残して欲しい願望はありますけどね・・・、これは致し方ありません。

さて入魂式ならびにお披露目曳行が行われた3月10日(日)は、朝から今にも雨が落ちて来そうなどんよりとした曇り空。

氏神である初嶋大神宮にて執り行われた入魂式の間は、その生まれ変わった姿を拝見出来ましたが、それも束の間。
次第に雨粒が落ち始め、だんじりは雨よけのシートでスッポリと覆われてしまいました。

午前11時からのお披露目曳行に出発し、まずは地域に1台だけ独立した小屋を持つ小嶋へ向かいます。

思い出すのは昨年の同じ時期に行われた丸嶋の入魂式。
あの日は晴天に恵まれ、だんじり同士を向かい合わせての手打ちが行われましたが、この日はあいにくのお天気です。
小嶋のだんじりは小屋から少し顔を出しての手打ち。

そしてお披露目曳行は、この南濱の小屋もある築地地区の『共同小屋』へと向かいます。

この場所は築地地区の西の端に位置し、川を越えれば中在家という場所に設置されています。
小嶋を除く築地地区6台と、お隣の貴布祢神社の東櫻木の計7台の小屋がズラリと並ぶ場所。

各町とも小屋を開け、南濱のだんじりの到着を待ち構えております。
そこへやってきた南濱のだんじりと、出迎えた各町とが手打ちを交わす、この日のハイライトが展開されます。

さてこの共同小屋の一番東側、向かって左の端が南濱の小屋となります。
そこには、彫り替えられる前の獅噛みや、見送り三枚板の出人形が保存してありました。

古い彫物も、こうして保存されてあると嬉しいですね。

さて、午後からも予定されていた南濱のお披露目曳行ですが、あいにくの雨のためにお昼をもって入庫し、残念ながら終了となりました。

今年のだんじり行事は始まったばかりですが、もしかして雨の当たり年となるんでしょうか?
今年は暖冬傾向で、暖かくなるのが早い分、季節の変わり目の雨の時期も、ちょっと早い気がします。
『はじまりは、いつも雨・・・』
いや、必ずしもそうではないけど、やっぱりお祝い事は、お天気に恵まれたいものであります。
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