茶屋のだんぢり漫遊録

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2018年唯一の『岸和田型』新調だんじり




ぼちぼち今年のだんじり行事も始まっておりますが、ブログの方は昨年の未報告ネタへとタイムスリップしたいと思います。


昨年行われたさまざまな『だんじり行事』、特に修復に伴う入魂式などをご報告しておりますが、まだ昨年の『新調だんじり』についてはご報告しておりませんでね。


大変お待たせしましたと言うべきか、或いはもう諦めておられたと言うか、こんな時期になっておりますが、昨年新調されただんじりに触れて行こうと思います。


さて、こちら!



ご存知の方も多い事でしょう、和泉市は府中地区の、馬場之町のだんじりであります。


2018年9月9日(日)、晴れてその姿をお披露目した時のお写真です。



昨年新調完成しただんじりの中で、唯一の『岸和田型』。


大工は岸和田の《地車製作 隆匠》田中隆治 棟梁、彫師は《木彫 高濱》高濱輝夫 師、そしてこのだんじりの製作中に高濱師より独立し、晴れて自らの看板を掲げた《木彫 森下》森下哲也 師であります。



順にお写真をご紹介してゆきますが、ワタクシ自身が現場に到着しましたのが当日午前5時半頃。

暗いうちに行われた引渡式や、神社への宮入りはすでに終わっており、神社にて神事を終えた頃だったので、ぼちぼちお披露目曳行に向けて動き出そうかと言う頃。

例によって入魂式の模様なので、新調だんじりの細部にまでカメラを向けてはおりません。そこは悪しからず。



このお写真なんかは、朝焼けに染まる空がキレイで、真新しいだんじりを美しく彩ってくれているかのよう。

このままお天気が持ちこたえてくれたら・・・いや、あわよくばこのまま晴れてくれたら・・・なんて淡い期待すら感じておりましたのに・・・。


午前6時を前に、お披露目曳行へと動き出しただんじり。



駅前の道路へ出て来たところ。
道路が濡れているのが分かると思います。



このあと、駅前ロータリーにて新調だんじり最初の遣り廻しが行われております。


お写真で時間の経過を追いながら、だんじり本体を眺めて行きましょうかね。



公式発表による寸法は、高さ3m78cm、屋根幅2m42.5cmだそうで、ご覧の通り切妻造りの屋根。

三手先七段積みの枡組は、派手さを抑えて優美な姿見を演出するものです。



お披露目曳行は駅前から旧村へと入り、小栗街道を進んで行きます。

それにしてもここ数年で和泉府中の駅前周辺は大きくそのロケーションを変えましたねぇ。



駅前再開発が進み、古い民家や町並みが姿を消してゆくのは寂しくもあります。
そんな時代の変化の中、馬場之町の新調だんじりはこれから何十年先まで、この町の人たちの絆を繋いで行くのでしょう。


遣り廻し可能な交差点では豪快な遣り廻しを決めながら、だんじりは各町をお披露目して回ります。



さらにこの日はあの台風21号による爪痕が色濃く残り、この日の曳行コースにも影響があったため若干コースの変更もありました。




ようやくだんじり周辺を取り巻く見物客も減ってきたタイミングを利用して、金網越しではありますが少しだけ彫物を拝見。



お写真は上も下も、右土呂幕『衣川の合戦』より。




下の写真は、小屋根枡合『五瀬命 茅渟海』



見送り『大坂夏之陣』から木村重成




と、こんな風にようやくだんじり本体を鑑賞させて頂いてる時に、にわかに雨粒が落ち始めてきて、瞬く間に本降りに雨に・・・

せっかくの新調だんじりも、屋根がシートで覆われてしまいました。




以前のブログで、この日は雨の中を各地で入魂式が行われた旨をお伝えして来ましたが、ここ馬場之町でも、お披露目曳行の真っ最中に雨に見舞われてしまいました。

しばしの休憩から曳行を再開しただんじりは、2発ほど遣り廻しを決めたところで、その後の予定を取りやめて、町内へと戻りました。



せっかくの新調だんじりを無用な事故に遭わせないためにも、ここは賢明な判断でしょう。

激しい本降りの雨は一時的でありましたが、その後も小雨の残る中、記念式典へと移行されました。




遅ればせながら、馬場之町の皆さまには、新調だんじり完成のお祝いを申し上げます。




このだんじりが町の宝物として、末永く大切にされますこと、お祈り致します。

信濃屋お半悠遊!だんじり録
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