茶屋のだんぢり漫遊録

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前田暁彦師の作品展へ…




過去の未報告ネタの次は今年の話題。

3月23日(土)24日(日)の両日、堺市の大仙公園にて、地元堺市出身の彫師・前田暁彦 師の作品展が開催されました。



当サイトユーザーの皆さんで、足を運ばれた方も多いのではないでしょうか?


特に24日(日)は前田師が新調を手掛けられた堺市・鳳連合の長承寺、同じく堺市・八田荘地区の毛穴町、そして師が修復を手掛けられた堺市・津久野地区の大東と、3台のだんじり本体が展示され、大いに賑わいました。

が・・・!


ワタクシがカメラ片手に訪れましたのはその前日の23日(土)。




翌24日(日)も、一応だんじり撤収の時間帯には足を運びましたが、お写真はまったく撮っておりません。

だんじりがトラックに積み込まれて会場から去って行く風景を、ホルモン焼き片手に遠巻きに眺めていただけ。


『なんやねん・・・せっかくだんじり展示されて注目のイベントやったのに、そのリポートちゃうんかい…』

と思われる方もあろうかと存じますが、そこはしゃーないんでございます。

ワタクシがカメラを持参して拝見したのは、23日(土)なのであります。




今年は暖冬傾向ではありましたが、3月の中頃から寒の戻りで桜の開花が足踏み状態になりました。
とは言え、公園内には春の訪れを告げる早咲きの枝垂れ桜が、五分咲きの状態で出迎えてくれました。



こちらも枝垂れ桜なのですが、こちらはは八分咲きってトコですかね?



さてそんな大仙公園内にある日本庭園の和室が、今回の作品展の会場



彫物作品を展示するにはもってこいの場所ではありませんか。

24日(日)も行われていましたが、だんじり本体の展示場所とは離れてましたので、だんじりだけ見に行った方もあるかも知れません。


庭園の入口付近で来場者に対応する前田師ご本人にご挨拶させて頂き会場内へと足を踏み入れたのですが、当のご本人のお写真は撮り忘れたまま中へ・・・

会場となる和室は日本庭園にふさわしく、なかなか『わびさび』の利いた佇まい。



そこに並べられた各町の『纏』が、来られた皆さんをお出迎えしております。

ここ数年で彫物の纏もグンと増えまして、これだけ見ていても飽きないんですけどな。



まだ中へ入ってないのに・・・


中に入ればそこは様々な置物、レリーフなどの作品が。

ただ単に並べ立てるのではなく、和室の雰囲気に馴染むよう、ひとつひとつが独立した空気を出せるよう工夫された配置となっていました。

作品的にはやはりだんじりに縁の深いものが多く、こちらは楠木正成




これは木の形を生かして彫られた龍のレリーフ。




こちらはおそらく『國史画帖大和櫻』から題材を求めたと思われる『藤吉郎初陣』。




だんじり的な作品で面白いと思ったのはこちら。



『七福神だんじり』という作品名で、泉大津型のだんじりに七福神が乗り込んでるというもの。



曳行してるというより、博物館に飾ってあるだんじりに七福神が乗り込んで遊んでる様に見えますけどね〜。


こちらは十二支のだんじり遊び



昔は他所から買うただんじりを牛に曳かせて村まで持ち帰ったなんて話を聞きますが、馬が本気で曳いたらどんな勢いで走るんですかね?

そらサルもだんじりから落ちるでしょうよ。


これなんかスゴイですよ。



岸和田型だんじりの土呂幕ぐらいの部材を用いて彫られた『天の岩戸』です。

あくまで個人への記念品として彫られた作品だそうです。




前田師と同じ苗字の戦国武将・前田利家馬乗り。



のちの『加賀百万石』の礎となった武将のお姿ですねぇ。


出ました、太閤秀吉



前田師の作品で毛穴町の右土呂幕にも『高松城水攻め』の場面で太閤秀吉の姿が彫られていますが、どちらもこの大振りな鎧兜が特徴的な作品です。

背後の障子の赤い照明で浮かび上がる真田幸村



幸村と言うと赤のイメージ。




こちら源義家は表情に注目。



敵を目の前にして激しい表情の作品はよくありますが、遠くを見据える目線の先に何があるのか、ドラマ性を感じさせる表情の作品で、非常に興味深いですねぇ。




いかがでしたか?

前田師の作品展の中から、いくつかの作品をご紹介しました。


『だんじり彫刻』という枠組みから離れて、自由な発想で彫られた作品や、また立像や馬乗りだけを切り取って見ることで、だんじり彫刻とは違った世界観が広がって面白いのではないでしょうか?




今回のリポートにだんじり本体は登場しませんでしたが、『彫物』の持つ面白さが少しでもお伝え出来たのなら、幸いであります。


信濃屋お半悠遊!だんじり録
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