平成から令和シリーズ③ 〜45台・奉祝の競演〜

令和元年5月1日、神戸市東灘区・山手幹線にて行われた『令和奉祝記念巡行』の話が途中でしたね。

午前中、神戸市を中心に阪神間のだんじり45台が会場である山手幹線に集結するまでをお話してきました。
かつての『菟原郡』のだんじりが集まった・・・という表現も出来ますが、灘区・東灘区・芦屋市はかつての『菟原郡』ですが、西宮市、さらに宝塚市からも参加だんじりがあるという事で、『旧・菟原郡』だけにとどまらない規模となりました。

また灘区からは秋に祭礼を迎える都賀や八幡の参加はなかったという事で、『旧・菟原郡のだんじりがすべて集まる』というのは厳密に言うと実現しませんでした。

それでも、45台ものだんじりが一同に会するだけで、あちこちで様々なコラボが実現したのは言うまでもありません。
さて、そんな午後。
再び降り始めた雨粒は朝より大きめで、本降りとは行かないまでも、弱めのシャワーの様に、辺り一帯をしっとり濡らすのには十分な降り方となりました。

そんな中、会場の一番西の端に設営されたステージでは記念式典が行われていました。
ワタクシ自身はこの時間を利用して、いくつかのだんじりを見て回ったのですが、雨除けのシートをすっぽり被せられてるだんじりも多くあり、まぁ仕方ないのでありますが、せっかくの貴重な機会ですからね、やっぱり残念ではあります。

スッキリ晴れてくれてなくても良いから、せめて降らないで欲しい・・・というのは、祭礼・イベントを問わず、だんじりを曳行する日の願いですね。

記念式典の終了まで、ステージのある西方向を向いていたすべてのだんじりが反転し、皇居のある東の方向を一斉に向いた瞬間が、この日一番のハイライトとなりました。

一概に『東』と言うても、皇居のある東京は神戸から見て、実は『真東』ではないんですよね。
この時は、山手幹線を東向きに並んだだんじりが、果たして本当に皇居の方を向いているのか、ワタクシ自身はちょっと懐疑的でありました。
もしかしたら神奈川県の鎌倉あたりか、千葉県の木更津あたりの方を向いてんじゃないのか?・・・みたいに思っていたのですが。

後から調べてみてビックリ!
山手幹線も一直線な道路ではなく、ところどころカーブしてますが、このJR摂津本山駅付近の山手幹線は、キッチリ東西を向いてる訳ではなく、東の方向は少し北を向いていて、いわゆる『東北東』を向いている事が判明しました・・・

すなわち、厳密に皇居を指しているかどうかまではハッキリしませんでしたが、概ね東京の方を向いており、少なくとも鎌倉や木更津といった、的外れな方角ではなかった様であります!

そこまで見越してこの場所を選んだ?・・・か、どうかは分かりませんが、令和の初日に新天皇の即位を奉祝申し上げるという目的は、果たせたのではないでしょうか?

単なるだんじり集合イベントではなく、集まっただんじりが揃って新元号を祝う、とても意義深いものであったと思います。

・・・というお話の間も、お写真では午後の曳行風景をご紹介しています。
全だんじりが、山手幹線を時計回りに周回し、すべてのだんじりと顔合わせ、行き違いをしながら曳行してゆきます。

普段は会う事のない、祭礼日や地区や地域の垣根を越えて、この日しか見られないコラボが連続します。
宝塚市から唯一参加の小濱のだんじり。

別世界の迷宮に迷い込んだかの様に、すれ違う各だんじりを見つめる姿が印象的。
可能であればもう数台、宝塚からの参加があっても良かったんじゃないかと思いましたね。

時間も進み、ぼちぼち会場からだんじりが出発してゆく頃に。
会場の東側エリアでは、住吉・御影両地区のだんじりが北側車線に並び、先に会場を後にする灘区から参加のだんじりをお見送りしました。

ここで、呉田區の先代だんじりである畑原のだんじりと、現・呉田區のだんじりとの、初の顔合わせも実現しました。

灘区のだんじりの列に続き、御影地区、住吉地区の順で会場を去ってゆきます。
対して西側では、地元の本山地区のだんじりが、庄内地区のだんじりとともに、芦屋、西宮、宝塚のだんじりをお見送り。

名残りを惜しむかの様に、お互い答礼を繰り返す風景に、一抹の寂しさも吹き抜けます。

ワタクシも住吉方面からこの場所へ来ましたので、最後までこの風景を見続けている訳にも行かず、住吉地区のだんじりの会場出発に合わせて会場から出ましたので、その終わり際は少し流動的ではありました。

まぁ、ちょうど午後から再び雨模様となり、あいにくのお天気ではありましたが、令和初日を祝う奉祝行事は、かつてないほど絢爛豪華な『だんじり絵巻』を披露し、そして無事に幕を閉じました。

これから新しい時代が始まります。

日々移り変わりゆく流れの中で、だんじりの世界もますます栄える事を願いつつ、長いリポートを終えたいと思います。
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