令和最初の新調だんじり

平成最後の新調だんじりをご紹介してから随分日数が経ってしまいましたが、この度、ワタクシの手元にお写真がもたらされましたので、晴れてご紹介出来まする。
令和最初の新調だんじりの登場です。
こちら!

泉大津市は濱八町・上之町のだんじり。
平成から令和へ元号またぎを経験した今年の大型連休の最終日、5月6日(月祝)に入魂式、ならびにお披露目が行われました。
初めにお断り申し上げておきますが、ここで言う『令和最初』というのは、完成した順・・・ではなく、あくまで令和に入って最初に入魂式ならびにお披露目を行なっただんじり・・・という意味でご紹介します。
『完成順』で言えばこのだんじりも平成の内に完成していたものと思われ、令和に入ってから完成を迎えるだんじりは、まだこの後に控えているものが当てはまると思われます。
ともあれ!
令和に入って間もない5月6日、各地で奉祝行事にわいた連休の最終日に、晴れてお目見えした上之町のだんじりは、まさに『令和最初の新調だんじり』と呼ぶにふさわしいではありませんか。
今回はその当日リポートをお届け致しましょう。
5月6日(月祝)早朝5時半・・・
上之町の会館のある『おてんのう公園』前には、すでに新調だんじりの姿が。

獅噛み(泉大津では伝統的に『鬼熊』と呼ぶんですな)はまだ白い布に覆われていて、その『表情』を伺い知ることは出来ず。
しかし、出発を前に白い布が取り払われると、現れたのは先代だんじりと瓜二つの精悍な獅噛みがお目見え。

これには紀州街道に織りなす見物客からはざわめきが、上之町の関係者からは大きな拍手と歓声が湧き起こりました。
獅噛みを含めたその姿見は、誰もが
『おお!…、上之町やん!』
と思うほど、名地車と謳われた先代だんじりと何ら変わらないもの。

町のこだわり、上之町のだんじりとはこうあるべきもの・・・という思いが伝わって来る姿であります。

入魂式を行うべく氏神・大津神社へ向かう道中も、泉大津式の曳行方法による遣り廻しも行われ、ここ数年の入魂式でよく見られる
『魂が入るまでは走らない、遣り廻しもしない!』
という類いのものとは一線を画す曳行。

これぞ濱八町の流儀、上之町の流儀なのでありましょう。
大津神社に到着しただんじりは鳥居をくぐって境内へ。

早朝から新調だんじりをこの目で見んと詰め掛けた見物客で、境内も神社前の道路も溢れかえっております。
上之町新調だんじり、大工は《植山工務店》佐野和久 棟梁、彫師は《岸和田木彫会》にて製作されたもの。

ちなみに、上之町だんじり新調に携わった各工匠は以下の通り。
《木彫 岸田》岸田恭司 師
《木彫 近藤》近藤晃 師
《木彫筒井工房》筒井伸 師
《木彫 片山》片山晃 師
《木彫前田工房》前田暁彦 師
《彫陽》山本陽介 師
《木下彫刻工芸》木下健司 師
《賢申堂》河合賢申 師
富山・川原正士 師
《木彫 岩崎》岩崎努 師
・・・となっています。
岸和田木彫会発足後、会として新調だんじり製作を請け負った最初のだんじり。

今回は彫物を鑑賞できる程だんじりのそばまでは近寄ってませんので、それらをご紹介する写真もございませんので、またそれは別の機会に譲るとして、今回は当日のリポートに徹しますよ。
入魂式を終えただんじりは神社外周の周回コースを回って、一旦帰町。

各交差点では、新調したてのだんじりとは思えない手慣れた遣り廻しを披露しながら曳行されます。

姿見の瓜二つさも相俟って、それはまるで先代だんじりが蘇ったかのような、昔から見ている上之町の曳行そのものでありました。
帰町してフリチリを通常曳行用の幟に付け替え、再出発して回るは各町へのお披露目。

濱八町の各町のだんじりが、お披露目コース上までだんじりを出して、新調だんじりをお出迎えしてお祝いします。
交差点では相変わらず手慣れた遣り廻しを披露する上之町。

繰り返し言いますが、新調だんじりですよ。
何十年も曳いてるだんじりちゃうんですよ・・・
こちら出屋敷のだんじりは垂れ幕を掲げ、ららロードの真っ正面でお出迎え。

あたりに祝賀ムードがあふれます。
さてここから新調だんじりは濱八町の各町が居並ぶ『浜街道』へと入って行きます。
昔ながらの古い家並みが軒を連ねる旧街道を、その両側に迫る軒先をスレスレに進んで行きます。

1本道ゆえ遣り廻しこそありませんが、道幅は狭く、微妙にクネクネと曲りくねっている上に、軒先や電柱などの障害物も多いこの道を、新調だんじりとして初めて通る割には、そこそこのスピードで駆け抜けてゆく姿は圧巻で、綱を曳く青年団は躊躇なく走り、舵をとる後梃子はノーミスで障害物を交わしてゆくその曳行は、感動すら覚えました。

これって地味にスゴイ事なんであります!
さて、お披露目曳行も終盤。

大津川沿の土手道から再び紀州街道へと戻る上之町のだんじり。
こちらは数年前に高架工事が完成した南海本線沿の『小屋道』。

上之町と宮本町の小屋がある道の事ね。
どこを通っていても絵になる姿見は、まさに押しも押されもせぬ『上之町』の雰囲気そのものを漂わせて進んで行きます。
姿見から彫物まで、こだわりにこだわり抜いて製作された、上之町の新たな宝物。
これから末永く大切にされ、新たな歴史を作り上げて行かれることを願っております。

上之町の皆さん、この度はだんじり新調完成、本当におめでとうございます。
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