茶屋のだんぢり漫遊録

目次

改修前のお姿をお写真で・・・




前回、四條畷市の岡山のだんじりについてご紹介させて頂きました。

同じ日、同じく四條畷市でもう1台だんじりを拝見させて頂いたので、それをご紹介しましょうかね。

こちら。



のだんじり。

『砂』という地域名でして、別に砂で出来ているとか、そういう訳じゃありません。

四条畷市の地図を開いて頂きますと、ちょうど市域の真ん中あたりに『砂』という地名を見る事が出来ます。

こちら『砂』のだんじり、昨年9月に岸和田の《植山工務店》にて大修理を施し、現在は見違える姿に生まれ変わっていますが、ワテがお邪魔させて頂いたのは3月ですので、まだ修復前



ちょうどこの1週間後に《植山工務店》へと搬入され、半年間にわたる工期を終え、9月に入魂式が行われました。

そんな、現在となっては貴重となる、修復前の『砂』のだんじりを振り返ってみたいと思います。

まず、お姿から。



当サイトの各町だんじり紹介ページにある『砂』の写真をご覧頂くと、驚く事に大屋根正面の拝懸魚がない状態の写真が掲載されており、ワテも見学させて頂く前にその写真をみて『え?』って思ったんですが、この日お目にかかっただんじりには、この様に拝懸魚がちゃんとあります。



明治10年代の製作とされていますが、大工は不詳(おそらく讃良郡の大工?)、彫師は《彫清》一門とされておりますが、一説には《小松》一門との見立てもあり、確証はナシ。

昭和初期に守口市の金田町より購入されたと言われるこのだんじりですが、おそらく製作当時から、大掛かりな修復は行われずに、ほぼ原形を保っていると思われる状態。



以前より、地元の大工(いや、大工かどうかも不明)によって簡単な補修は行われている様で、その形跡はこんな所に見る事が出来ます。



いわゆる『かまし木』を挟み込んでる感じの修復ですが、お世辞にも丁寧とは言えない仕事です。


屋根廻りから見ていきましょか。



獅噛みは右手と両耳の付け木部分が欠損していて、ガラス目も抜け落ち、そこに彩色で目が描かれている感じ。

隣懸魚もこんな風に固定されていました。



こちら大屋根車板の龍を見るにつけ、ワタクシ的には、《小松》よりも《彫清》に近いかなぁ?・・・て思うんですけどね。



当サイトの各町紹介ページには《彫清》とあるんで、ワテはそっちを支持したいなぁ。

小屋根の車板は定番の親子獅子。



前回、岡山の小屋根の車板の獅子は親と子の配置が左右逆と申しましたが、この様に、親が左側で子が右側に配置されているのが、圧倒的に多い構図なのであります。


木鼻や花台など。



ところどころ『ガラス目』の残っている部分もあるのですが、多くのガラス目は欠損しており、そこは同じ様に、彩色で目が描かれている状態。



彫物にニスが塗られたのはそんなに昔ではなく、おそらく昭和の終わり頃ではないかと思うのですが、彫物と屋形一式については、製作当時のままの香りが漂います。


これは車軸。



まず木製である事への驚きと、左右のコマの間隔の狭さにも驚きます。



大修理では台木と通し柱、担い棒の新調交換と、部材の総洗い、彫物のニス落とし、繕い、ガラス目の入れ直しなど、根本的な修復が施され、見違える姿に生まれ変わりました。

まぁそのお写真が手に入りませんで申し訳ないのですが・・・





さてここ『砂』という地域ですが、今から約4,500年前の縄文時代、まだこの周辺の土地が河内湾であった時代に、その海岸線と言うか、水際にあたる地域がここ『砂』であった様で、そこに縄文人の暮らしがあったとされています。

やがて川から流れてきた土砂が堆積して河内湾は海と切り離されて『河内湖』となり、やがてそれらも陸地となった事で、現在では河内地方の所々に残る池が、その名残りとされています。


昭和57年に、ちょうどこの『砂』のだんじり小屋の北側に大阪府立四条畷北高校(現在の交野支援学校)を建設しているときに古墳時代から奈良時代のものとされる大量の土器が出土し、さらに発掘を続けるとその下の層から縄文時代の土器が発掘されたと言う事で、現在も『砂』のだんじり小屋のすぐ横には、『砂遺跡』の石碑が建てられています。




この土地でかつての縄文人や弥生人が、

『乳首ドリルすな!すな!すな!すな!・・・』

と言っていたかどうかは、定かではありません。



かつて『砂』地域は明治4年まで東砂村と西砂村で2台のだんじりがあったそうで、その境界線が『河内街道』らしいのですが、今現在の『河内街道』は『砂』地域の西側にあり、かつての『砂村』はもっと東西に広かったのかも知れませんねぇ。




ちなみに、先代だんじりは昭和4年に大東市の江ノ口南に売却


はい、では今回はここまで。

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